健保ニュース
健保ニュース 2025年8月合併号
かかりつけ医機能
松本理事 体制整備の評価見直しを
次期改定へ1巡目の議論開始
中央社会保険医療協議会(会長・小塩隆士一橋大経済研究所特任教授)は7月16日、令和8年度診療報酬改定に向けた第1ラウンドの議論を開始した。健保連の松本真人理事は、かかりつけ医機能報告制度について、かかりつけ医機能の体制整備に対する診療報酬上の評価を見直す議論が不可欠だと訴えた。
この日の会合では、厚生労働省が外来医療の現状を説明した上で、論点として①かかりつけ医機能報告制度を踏まえた外来における診療報酬上の評価のあり方②生活習慣病対策のさらなる推進──などを提示し、委員から意見を求めた。
このうち①のかかりつけ医機能報告制度は、高齢化が進む中で地域における効率的な医療提供体制の構築を目的に4月に施行され、来年1~3月に医療機関が都道府県に自院の機能の報告を予定。日常的な診療を総合的、継続的に実施する1号機能や時間外診療、在宅医療などの2号機能(1号機能を有する医療機関が対象)を報告内容としている。
松本理事は発言の冒頭、「新たな地域医療構想や医師偏在対策の検討が進む中、限られた医療資源で過不足ない最適な医療を実現するために、次期診療報酬改定は非常に重要な節目になる」と切り出した。
その上で、①に関して「かかりつけ医機能報告制度と診療報酬の考え方が異なっていることから、1号機能の評価が現行の診療報酬にはない」と指摘し、「1号機能はかかりつけ医機能の出発点となる重要なポイントのため、適切に評価する観点から体制整備の評価を大きく見直す議論が不可欠だ」と訴えた。
また、2号機能の時間外診療は様々な世代にとって関心が高いテーマであるとし、「地域医療を維持するため、診療所の輪番や中小病院の夜間外来についても検討すべき」と述べた。
一方、診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「報告制度はかかりつけ医を認定する仕組みではなく、地域を「面」とした提供体制の構築を目指すものだ」とし、「患者のフリーアクセスを制限することや、かかりつけ医機能を持つ医療機関を認定する観点から議論することは、報告制度の趣旨に反し許されない」と指摘した。
また、「報告制度は地域で最適な医療体制を構築するための制度で、診療報酬とは考え方が異なる。診療報酬上の評価と結び付けて議論するべきではない」と強調した。