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健保ニュース 2025年8月合併号

新たな地域医療構想策定へ
ガイドラインの検討に着手
厚労省検討会が初会合

厚生労働省の「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」(座長・遠藤久夫学習院大学長)は7月24日、初会合を開いた。今年度中にまとめる新たな地域医療構想策定のためのガイドラインについて、「区域の設定」や「必要病床数など議論に必要なデータ」「対応案の策定」「策定後の取り組みの推進に向けた事項」など現行の基本構成を踏襲しつつ、医療機関の機能などを踏まえ、具体的な記載内容を検討することとした。

また、医師確保対策や医師偏在是正については、令和9年度からの次期医師確保計画や「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」の実施のための具体的な内容も検討する。

この日の会合では、検討会の下に①救急医療②小児医療と周産期医療③災害医療と新興感染症医療④在宅医療と医療・介護連携──をテーマにしたワーキンググループの設置も了承した。

新たな地域医療構想については昨年末、「新たな地域医療構想等に関する検討会」で「2040年に向け、外来・在宅、介護との連携、人材確保等も含めたあるべき医療提供体制の実現に資するよう策定・推進する」という基本的な考え方などが取りまとめられた。

また、同検討会では医師偏在是正の具体的な取り組みとして、医師確保計画の実効性確保や地域の医療機関の支え合いの仕組みなどもまとめていた。

これらを踏まえた医療法改正案は先の通常国会に提出されたが、実質的な審議はされず、継続審議となった。

このため、新たな検討会は当面、法改正を伴わない「必要病床数、医療機関や病床の機能」「構想区域のあり方」「医師偏在指標」を議論する。

法改正を伴う「地域医療構想への精神病床の追加」「医師手当事業の創設」「外来医師過多区域における無償診療所の新規開設者への要請等」については、改正医療法の成立後に検討する方針だが、参院選の結果、衆参両院で与党が過半数割れした現在の政治状況下では、開始時期の見通しは立っていない。

健保連の伊藤悦郎常務理事はガイドラインの基本的な構成や検討の進め方に賛同したが、今後の現役世代の人口減少により、「医療保険財政がこれまで以上に厳しくなることも踏まえて検討してほしい」と訴えた。

また、地域の関係者間の円滑な合意形成に向け、「地域の議論の進め方や構想全体のPDCAサイクルを回すポイントについて、ガイドラインに具体的に示す必要がある」と指摘した。

坂本泰三構成員(日本医師会常任理事)は、地域医療構想の実現に向け、地域医療介護総合確保基金をより活用しやすくするよう求めた。

玉川啓構成員(福島県保健福祉部次長)は今後、「地域医療構想を推進するためのガイドラインが重要になる」と主張し、ガイドラインの構成のアップデートを含めた検討を提案した。

遠藤座長は厚労省に対し、構成員の意見を踏まえ、議論に資する資料の作成を指示した。

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