健保ニュース
健保ニュース 2025年7月下旬号
産科医療特別給付事業
申請200件中、83件を認定
日本医療機能評価機構は11日の第54回産科医療補償制度運営委員会(委員長・小林廉毅東京大大学院名誉教授)で、今年1月に開始した特別給付事業について、6月末時点で約200件の申請があったと報告した。このうち85件を審査し、83件を給付対象に認定した。機構は順次、給付対象者に給付金を支払っている。
同事業は、令和4年の補償対象基準見直しにより個別審査が廃止されたことを受け、過去に個別審査で補償対象外になった子の保護者からの救済の要請を契機に開始した。
補償対象外になった子が給付対象基準を満たす場合、1人当たり1200万円の特別給付金を特例的に給付する。財源には同制度の剰余金を充てる。補償申請の期限は11年12月31日。
また、機構は補償申請の審査や補償の状況について報告した。制度開始の平成21年以降、今年5月末時点で計5935件の申請を審査し、4550件を補償対象に認定した。
補償対象外になったのは1350件。審査時点で補償対象にならなかったが、審査委員会が指定した時期に再申請された場合に審査対象になる「補償対象外(再申請可能)」は29件で、残る6件は継続審議となっている。
今年1月以降に満5歳になり補償申請期限を迎える子の申請については、322件を審査し、266件を対象に認定し、47件を対象外とした。このほか、審査中の申請が47件、申請準備中が40件となっている。
機構は満5歳の補償申請期限の経過で補償を受けられない子が生じないよう、自治体や厚生労働省、関係学会や団体を通じて制度の周知に取り組んでいる。
また、円滑な補償申請に向け、保護者と分娩機関の仲介も含めた補償申請の支援を継続している。
機構の6年度決算は、当期収入合計9億2900万円、当期支出合計8億7900万円で、当期収支差額は5000万円の黒字だった。
7年度予算は、当期収入合計を9億1300万円、当期支出合計を9億7800万円と見積もった。
昨今の出生数の減少を受け、機構は「今後も出生数の減少が続くと、近い将来、制度の運営に必要な収入を得られなくなる」との懸念を示し、物価や人件費の高騰も踏まえ、経費削減に努めるとした。
併せて、安定した事務経費の確保に向け、厚労省や保険者と協議しつつ、政府の出産育児一時金に関する検討状況を踏まえ、具体策をまとめる考えを示した。
このほか、この日の委員会では、産科医療の質の向上に向けた原因分析や再発防止の実施状況、制度に関するアンケート結果などが報告された。