健保ニュース
健保ニュース 2025年7月下旬号
TOPPANグループ健保が事例発表
被扶養者健診 手紙手渡しで受診率向上
日本人間ドック・予防医療学会が11日に開催したセミナーで、TOPPANグループ健保組合ヘルスケアチーム課長の石岡秀規氏が、保険者の立場からコラボへルスの取り組みを事例発表した。事業所と一体となって被扶養者健診の受診を促進した結果、受診率が80%に達したことを報告し、「受診率向上には、事業所の協力が絶対に必要だ」と強調した。
母体企業の健康経営に「家族が元気なら社員も元気になる」との方針が掲げられているため、家族の健康づくりもコラボへルスで実践しやすい環境にあると説明した。
同組合は毎月、被扶養者の健診受診率を事業所単位で算出した上でグループ内ランキングを作成し、事業所に情報共有している。その際、低受診率だった事業所には、健保組合と共同で本人に健診受診を働きかけることを事業主に提案。社長と健保組合理事長の連名で従業員宛てに手紙を送り、従業員から家族本人に渡してもらう仕組みにしたことが、受診率の向上につながったと振り返った。
被保険者の健診については、健保組合が事業所ごとにヘルスケアレポートを作成している。健診項目のうち、肥満度、血圧、脂質、喫煙の状況を事業所単位でまとめてグループ内ランキングを作成し、事業所に情報共有する。「ランキングを見た工場長や責任者から、どこが悪いのか、どう改善したらいいのかと尋ねてくるようになった」と話した。
コラボへルスは、健保組合が各事業所の健康づくり担当者の中から「ヘルスケア推進委員」を委嘱し、事業所が経営する診療所、健保組合、各事業所の総務担当者が連携して推進する体制をとっている。石岡氏は、「ヘルスケア推進委員を置くことで事業所にお願いがしやすくなる」と述べた。
コラボへルスの一環として健保組合は、事業所が実施する健康づくり事業のサポートも行っている。全国の事業所の取り組みの横展開を図るとともに、取り組みが優秀な事業所を組合会で表彰している。さらに健康づくり事業の委託事業者一覧も提供する。事業サポートにはヘルスケア推進委員も関わって進めているという。
健保組合では、体と食事と心の3つがバランスよく維持される状態を「健康」と位置づけて事業を進めているとし、事業所の社員食堂と連携したプロジェクトの提案・実施、健保直営の診療所を利用した新入社員の離職防止に向けたメンタルヘルス対策の実施などを紹介した。