健保ニュース
健保ニュース 2025年7月下旬号
人間ドックの日セミナー
秋山理事 予防で将来世代の負担軽減
皆保険維持へ関係者間で危機感共有
日本人間ドック・予防医療学会(荒瀬康司理事長)は11日、都内で人間ドックの日記念セミナー「データヘルス計画の重要基盤となるEBPMについて」(健保連など共催)を開いた。
共催者としてあいさつした健保連の秋山実理事は、予防・健康づくりや全世代型社会保障制度の構築に向けた取り組みを推進し、健康寿命の延伸に寄与することで、社会全体の福利を向上させ、将来世代の負担軽減につなげることが重要だと訴えた。
人口減少社会を迎えるにあたり、医療保険制度や国民皆保険制度の維持・存続が大きな課題になるとし、「健保組合などの保険者や加入者、事業主、国、医療提供側でこの危機感を共有することが大切だ」との考えを示した。
予防・健康づくりの方向性として、保険者が策定するデータヘルス計画の枠組みとなる「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」が令和5年に改訂され、「社会情勢の変化などに対応した保健事業の実施」が盛り込まれたことを説明し、健保組合には、加入者が健診を受けやすくなるような細やかな働きかけとともに、女性の健康づくりやロコモティブシンドローム対策など加入者サービスを充実させることを求めた。
また、こうした事業の推進には、「データヘルスが重要な基盤になる」と述べ、エビデンスに基づき政策を立案し、検証する必要性を指摘した。
あいさつの冒頭、秋山理事は、健保連の人間ドック事業を紹介した。同事業は、一定の基準を満たす信頼性の高い健診機関を健保組合に紹介し、全国共通の検査項目で受診できる環境を整えている。健保連が指定する健診機関は4月末時点で、903施設に上る。
事業開始以来、疾病の早期発見・早期治療や健診の質の向上、受診率の向上を通じた医療費適正化を目指し運営しており、引き続き、指定施設数の増加に向け、健診機関などの協力を得ながら取り組んでいきたいと意気込んだ。
この日のセミナーを各組合のデータヘルス計画に生かし、成果を上げてほしいと締めくくった。