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健保ニュース 2025年7月中旬号

がん検診あり方検討会
職域受診情報 自治体が一体把握へ
受診者本人の報告想定

がん検診のあり方に関する検討会(座長・山縣然太朗山梨大大学院教授)は6月23日、受診率向上と適切な精度管理の実施を図る観点から、職域検診を含めた住民のがん検診の受診情報を自治体が集約し、一体的に管理する方針を了承した。

受診情報の集約には、受診者本人が自治体に対して受診状況を報告する方法が示され、自治体検診事務のデジタル化を図る自治体検診DXを活用した電子的な報告手法も検討する。

厚生労働省はこの日の会合に、自治体による受診勧奨イメージとフロー、自治体検診DXを見据えて目指す姿などを示した。

受診勧奨は胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんそれぞれについて行う。自治体が対象者全員に、今年度または昨年度の受診状況などを尋ねる質問用紙を配る。「受けていない」「わからない」と回答した人には、実施主体にかかわらず、自治体から検診の受診を案内する。また、受診者でも「要精検」と答えた場合は、精密検査が必要な旨を通知するとした。

自治体検診DXを見据えて目指す姿には、本人同意の下で正確な職域検診の受診情報を把握する仕組みの構築を示した。

具体的には、職域検診の結果を医療機関から受診者本人が電子的に受け取る仕組みを作り、自治体・医療機関などをつなぐ情報連携システム(PMH)に登録する。

結果は、自治体が健康管理システムに集約し、必要があれば精密検査の受診につなげる。検診結果については、住民検診と職域検診の様式に差異があり、統一的なデータ処理ができないことを課題とした。

厚労省は今後のスケジュールについて、今年度中に「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を改正する方針を示したが、実際の運用は準備の整った自治体から開始し、自治体検診DXが稼働する令和11年以降から本格実施する。

がん検診には、健康増進法に基づく自治体検診と、保険者や事業主が福利厚生の一環として実施する職域検診などがある。

職域検診の実施は任意のため、国全体の受診率を把握する仕組みがない。第4期がん対策推進基本計画では、検診結果の把握などの課題を整理し、必要に応じて法的な位置づけも含め制度設計を検討するとしている。

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