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健保ニュース 2025年7月上旬号

中医協が8年度改定の方向性
松本理事 制度改革沿った議論を要請

中央社会保険医療協議会(会長・小塩隆士一橋大経済研究所特任教授)は6月25日の総会で、現在の医療提供体制を踏まえた令和8年度診療報酬改定の方向性について議論した。健保連の松本真人理事は、医療資源の配置の最適な組み替えや医療機関の機能強化が不可欠とし、医療制度改革と同じ方向で議論を進めることが重要だと訴えた。

厚生労働省はこの日の会合に、人口動態を踏まえた医療需要や医療施設の状況、医療従事者の実態を示すとともに、医療提供体制を維持するための取り組みを説明した。さらに、①病院、診療所、訪問看護ステーション②歯科医療機関③薬局・薬剤師──ごとに課題を整理して提示した。

①では、医療と介護の複合ニーズを持つ高齢者の増加が見込まれる中、「治し、支える医療」の実現を課題の一つとした。また、手術件数や急性期病床の稼働率の低減が医療機関経営に影響を与えることから、急性期医療や救急医療の提供体制の構築も課題とした。

健保連の松本理事は、人口構造や医療ニーズがさらに変化し、地域格差の拡大も見込まれることから、現状の医療提供体制を前提としない議論を進めるよう求めた。

病院については、「治す医療」のニーズが減少することを念頭に、急性期の医療資源を集約し、拠点となる病院で集中的に濃密な医療を提供することを提案。診療所については、かかりつけ医機能を中心的に担う医療機関として、幅広い疾患に対応できる機能の強化や、時間外診療、在宅医療に対応することが求められるため、集約化や大規模化を進めることも必要だとした。

佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、「医療機関の機能分化・連携をさらに推進する方向性で議論すべき」と述べるとともに、地域での議論も重要だが、医師偏在是正など日本全体を見た政策に早急に着手する必要があると指摘した。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、診療報酬改定は医療機関にとって影響が大きいと訴え、「地域医療の関係者が協議し、地域の実情に合わせて考えた方策を補助金で支えることが適切な場合もある」と主張した。

また、医療機関の集約化については、今の医療提供体制を考慮せずに集約化・効率化を図るのではなく、地域に密着した診療所や病院の位置づけ、バランスを重視し、引き続き支える観点から議論すべきとした。

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