健保ニュース
健保ニュース 2025年7月上旬号
石破首相が会見
社会保障改革で不安払拭
公定価格引き上げも重視
石破首相(自民党総裁)は6月23日、第217通常国会の閉会を受けて記者会見し、2040年までに名目GDPを1000兆円に、平均所得を400万円から5割以上それぞれ引き上げると打ち出した。実現に向け、医療・介護などの公定価格も含めた賃上げや物価高対策などで「今日の悩みを取り除く」、米国の関税対策や社会保障改革などを通じて「明日の不安を払拭する」、地方創生と投資の促進で「希望ある未来を創る」と語った。
社会保障改革については、公明党と日本維新の会との合意に基づき、病床数の適正化など「現役世代の保険料負担軽減を含む国民負担の軽減を図る」と述べたほか、幅広い意見を聞いて丁寧に高額療養費制度を検討するとした。
また、女性が安心して活躍できる社会を目指し、無痛分娩の環境整備や女性の負担にも配慮した乳がん検診、女性用トイレの整備などを検討する。
賃上げに関しては、実質賃金の1%程度の継続的な上昇が当然になる社会の実現を掲げた。推進策の一環として、医療や介護、保育、福祉などの公定価格を引き上げ、地域で活躍する人材の育成と処遇改善につなげる考えだ。
そのほか、賃上げの推進に向け、生産性向上に向けた投資や価格転嫁と取引適正化、最低賃金の引き上げなどを盛り込んだ。
物価高対策には、物価上昇を上回る賃上げを実現するまでの対応として、1人当たり2万円などとする「新たな給付金を公約に掲げて実現する」と訴えた。
また、消費税は「医療、年金、介護など社会保障を支える大切な財源だ」と強調し、「安定財源なしに減税するような無責任なことはできない」と主張した。
物価高対策ではこのほか、コメやエネルギーの価格上昇への対応、3党合意を踏まえた高校無償化や小学校の給食費無償化も進めるとした。
両院での修正経て予算成立
「責任与党」の成果を強調
少数与党になって初めての通常国会を振り返った石破首相は、衆参両院での修正を経て成立した令和7年度予算や、大阪・関西万博、G7での外交などを挙げ、「責任与党として一定の成果を残すことができた」と強調した。
政府が先の通常国会に提出した法案は59本。このうち、継続審議となった医療法改正案を除く58本が成立した。石破首相は「党派を超えた合意形成に努めた」と述べたが、野党7党が共同提出したガソリン暫定税率廃止法案をめぐっては、衆院で井林辰憲財務金融委員長(自民)の解任が決議されるなど波乱含みの最終盤になった。