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健保ニュース 2025年4月下旬号

6年度改定 効果検証の調査結果を報告
介護給付費分科会

社会保障審議会・介護給付費分科会(分科会長・田辺国昭東京大学大学院教授)は14日、厚生労働省が報告した令和6年度介護報酬改定の効果検証に係る調査結果を了承した。

調査は3年に1度の介護報酬改定ごとに実施しており、6年度は①高齢者施設等と医療機関の連携体制等にかかる調査研究事業②福祉用具貸与価格の適正化に関する調査研究事業③リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組に関する調査研究事業④地域の実情や事業所規模等を踏まえた持続的なサービス提供の在り方に関する調査研究事業──の4つを実施した。

①は6年度改定で、施設系サービスと在宅医療を支援する地域の医療機関などと実効性のある連携体制を構築するため、▽相談対応を行う▽診療を行う▽入所者の入院を原則として受け入れる(病院のみ)──の3つの体制を確保した協力医療機関を定めることを義務化(経過措置3年)したことを踏まえ、協力医療機関との連携や施設における医療提供の実態を把握し、次期改定の検討に生かすことを目的とする。

3要件を満たす協力医療機関を定めている施設の割合は、介護老人保健施設が70.0%、介護医療院が72.4%となった一方で、介護老人福祉施設は56.6%、養護老人ホームは45.7%にとどまった。

協力医療機関を定めていない施設の進捗状況をみると、「まだ検討を行っていない」と回答した施設割合が、養護老人ホームで44.1%と最も高く、次いで介護老人福祉施設31.6%、介護老人保健施設と介護医療院いずれも25.0%となった。

また、協力医療機関を定めるときの課題をみると、「とくにない」と回答した施設が約3割あった一方で、「休日・夜間の対応は困難であると提携を断られた」、「原則入院受け入れの対応は困難であるため提携を断られた」など提携を試みたが至らなかったケースや、「どこに相談すればよいかわからない」といった情報収集段階での課題が判明した。

④は資源が特に乏しい地域を中心に介護ニーズの状況や介護サービスの提供体制、小規模事業所を含めたサービス提供の実態などの情報を収集・分析しながら、サービス提供上の課題解決につなげることが狙い。

このうち、訪問介護事業所に関する事業所調査は、「中山間・離島」、「都市部」、「その他」の3つの地域におけるサービス提供の実態傾向を明らかにするために実施した。

訪問介護事業所の訪問回数の増減をみると、訪問回数が前年度に比べて5%以上減少したと回答した事業所が、都市部57.1%、中山間・離島55.4%、その他50.0%となっており、全ての地域で5割超減少した。

また、訪問介護事業所の職員数の増減をみると、都市部で前年同月比3.6人増、中山間・離島で同2.5人増、その他で同3.1人増となり、全ての地域で職員数が増加した。

健保連・伊藤常務
実効性ある対策を要望

健保連の伊藤悦郎常務理事は協力医療機関を定めている割合が一部の施設で4~5割にとどまり、未検討施設も2~4割あったことに対して「非常に残念」とし、「全介護保険施設が連携体制を構築するために、実効性のある対策を実施し、経過措置期間が延長することがないようにしてほしい」と要望した。

このほか、④について、「調査結果から、訪問介護事業所で訪問回数は減少している一方で、職員数が増えている状況がある」と述べ、地域の状況を含めた関係性の分析を求めた。

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