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健保ニュース 2025年4月下旬号

次期診療報酬改定検討を開始
松本理事 医療保険の持続性念頭に

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は9日、総会を開き、厚生労働省が提示した「令和8年度の次期診療報酬改定に向けた検討スケジュール(案)」を了承した。健保連の松本真人理事は医療保険制度の持続可能性の観点から議論するよう要望した。

スケジュール案は、今回の改定が、物価・賃金・医療機関の経営状況が従来の改定とは異なる状況にあることや、医政局で2040年に向けた地域医療構想が議論されている状況を踏まえ、総会でまず「医療機関を取り巻く状況」と「医療提供体制」について春から初夏を目処に議論することとした。

夏ごろから、入院や外来などのテーマごとに議論を深める第1ラウンドを開始し、10月以降の第2ラウンドで個別の診療報酬改定項目に関する各論に入る。

また、薬価専門部会や保険医療材料専門部会、費用対効果評価専門部会などの各専門部会で、各論点の議論や業界の意見聴取を実施し、取りまとめ後に総会への報告を予定する。これと並行して、診療報酬改定結果検証部会では夏ごろから7年度調査を実施し、秋に総会に結果を報告する。

このほか、8年度診療報酬改定では、分科会からの報告は総会で実施することとし、総会で内容を深掘りすることとした。

健保連の松本理事は、第1ラウンドの前に、医療機関を取り巻く状況を議論することに理解を示したうえで、「足元の状況だけでなく、長期的な視点で見ることも重要だ」と訴えた。

あわせて、「賃金が上がらない状況下でも、医療費水準が増加し続けていることに強い危機感を持っている」と強調し、「医療保険制度の持続可能性の観点からの議論をお願いする」と要望した。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、スケジュール案に異論はないとしたうえで、医療機関の経営が厳しい状況の中、賃金上昇と物価高騰や医療の技術革新に対応して国民の医療を守る必要があるとし、「診療報酬による機動的かつ十分な対応が適時適切に行われるべき」と述べた。

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「2040年に向け、地域ごとの人口構造や疾病構造、医療需要が変化することで、地域差が大きな問題となる」と指摘。「医療を取り巻く環境が変わる中、国民がどこに住んでいても必要な医薬品にアクセスできる医薬品提供体制の構築が不可欠」と断じた。

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