健保ニュース
健保ニュース 2025年4月下旬号
財政審「骨太」反映へ議論開始
財務省 社会保障改革は急務
持続性確保へ医療・介護を重点化
財政制度等審議会(十倉雅和会長)の分科会は9日、政府が6月にもまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」への反映を目指す「春の建議」に向けた議論を開始した。
増田寛也分科会長代理(日本郵政社長)は会議後の記者会見で、今後の議論のポイントを問われ、「いかに財政を健全化し、国民や世界からの信任を確保するかを念頭に置きながら、次回以降の各論の議論に臨みたい」と述べた。
この日の分科会は、財政総論をテーマに議論。財務省は①日本経済を巡る構造的課題②日本経済を巡る足もとの課題③財政健全化に向けた取り組み──を柱立てとする資料を提出した。
①は人口減少と少子高齢化を構造的な課題に挙げ、生産年齢人口の減少が潜在成長率の低下や社会保障の受益と負担のアンバランスに大きく影響するとした。また、人口の減少度合いに地域差があることから、地域間格差や地域サービスの低下をもたらすとの懸念を示した。
これらの課題の解決策として、▽活力ある経済社会の実現▽持続可能な社会保障制度の構築▽安心で豊かな地域社会の確立──を進めることを重視した。
特に、持続可能な社会保障制度の構築に向けては、2025年に「団塊の世代」の全員が後期高齢者になることによる医療・介護費用の増大を見据えた医療・介護分野の給付の効率化、重点化に取り組む必要があるとともに、給付と負担のバランスが不均衡に陥っている現在の制度の持続可能性を確保するための改革が急務だと指摘した。
出席した委員からは、「少子高齢化の進展で働き手が減少する中、国は必要な支援と財政の持続可能性のバランスを重視すべき」などの意見があった。