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健保ニュース 2024年4月中旬号

子ども・子育て支援金制度創設など
子子支援法案が衆院審議入り
保険者別 支援金負担のあり方が争点

児童手当の抜本的拡充や子ども・子育て支援金制度の創設などを柱とし、今国会における重要広範議案に位置づけられた「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が2日、衆院本会議で加藤鮎子内閣府特命担当相による趣旨説明、岸田文雄首相や関係大臣と各党代表者による質疑を行い、審議入りした。今国会での成立をめざすが、質疑では令和8年4月1日に創設する子ども・子育て支援金制度に批判が集中。政府の子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算に対し、野党から医療保険者ごとに所得階層別の負担額を示すよう要求があるなど、支援金のあり方が争点となった。

加藤特命相が法案の趣旨説明

2日の衆院本会議では、加藤鮎子内閣府特命担当相が「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明を行った。

少子化はわが国が直面する最大の危機と強調し、「2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転させるラストチャンス」との問題認識の下、昨年末に閣議決定した「こども未来戦略」の「こども・子育て支援加速化プラン」に盛り込まれた施策を着実に実施するため、給付面と財政面の改革を一体的に行うことを目的に、本法案を提出したと発言した。

本法案の主な内容については、第1に、「加速化プラン」に盛り込まれた子育て支援の施策や給付の拡充を行うため、児童手当における支給期間の延長や所得制限の撤廃、第3子以降の児童にかかる支給額の増額を行うとともに、妊娠期の負担軽減のための妊婦のための支援給付等を創設すると説明。

第2に、子ども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるため、年金特別会計の子ども・子育て支援勘定と労働保険特別会計の雇用勘定の育児休業給付関係部分を統合し、子ども・子育て支援特別会計、いわゆる「こども金庫」を創設する。

第3に、「加速化プラン」を支える安定財源の確保策として、既定予算の最大限の活用等や徹底した歳出改革を行ったうえで企業を含む社会、経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で広く拠出する仕組みとして、「子ども・子育て支援金制度」を創設。

具体的には、支援金を充当する対象事業を定めるとともに、各医療保険者は子ども・子育て支援納付金を国に納付することとし、その納付に要する費用について、被保険者等から子ども・子育て支援金を、医療給付に充てる保険料と合わせて徴収することとした。

また、「子ども・子育て支援金制度」を段階的に構築していく間、支援金を充てるべき給付に必要な費用に充てるため、子ども・子育て支援特例公債の発行を可能とする。

このほか、施行期日ならびに法律の施行に関し必要な経過措置および留意事項等について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行う意向を示した。

代表質疑では、▽田中英之氏(自民党)▽岡本あき子氏(立憲民主党)▽一谷勇一郎氏(日本維新の会)▽中野洋昌氏(公明党)▽高橋千鶴子氏(共産党)▽田中健氏(国民民主党)─の6氏が質疑に立った。

質疑のなかで岸田文雄首相は、「子ども・子育て支援金は歳出改革による保険料負担の軽減効果の範囲内で構築することを基本とし、実質的な負担は生じない」と明言。

そのうえで、「支援金制度は、社会保障負担率という具体的なメルクマールを設け、支援金を導入しても社会保障負担率は上がらないということを、国民に新たな負担を求めないことの証として約束したい」と強調した。

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