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健保ニュース 2024年3月下旬号

厚労省が後発品にかかる新目標
2029年度末 金額シェアを65%以上
4期医療費適正化計画に反映

厚生労働省は、後発医薬品にかかる新目標をまとめ、14日に開催された社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭会長)に提示した。

現行の後発品における数量ベースの目標を基本に、金額ベースとバイオシミラーの目標を新たに追加する内容で、委員から反対意見はなかった。

厚労省は、都道府県が作成する「第4期医療費適正化計画(2024~2029年度)」への反映を視野に、「第4期医療費適正化基本方針」を来年度中に改定する意向を表明した。

この日の会合で厚労省は、「後発品にかかる新目標(2029年度)」を示した。
 令和3年薬価調査では、後発品の数量シェアは80.2%、金額シェアは56.7%で、3年度NDBデータで数量シェアが80%以上の都道府県は29道県となっている。

現行の数量ベースの目標は変更しない対応を基本的考え方としつつ、「主目標」として「医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発品の数量シェアを2029年度末までに全都道府県で80%以上」と設定した。

他方、バイオシミラーの使用を促進するため、「2029年度末までに、バイオシミラーが80%以上を占める成分数が全体の成分数の60%以上」を「副次目標①」として新設。

バイオシミラーの使用促進や長期収載品の選定療養等により、後発品の使用促進による医療費の適正化を不断に進めていく観点から、「副次目標②」として、「後発品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」を新たに掲げた。

そのうえで、厚労省は、限定出荷となっている品目を含む成分を除いた数量・金額シェアを参考として示すことにより、後発品の安定供給の状況に応じた使用促進を図っていくほか、薬効分類別で数量・金額シェアを「見える化」することで、取り組みを促進すべき領域を明らかにして使用促進を図っていくとの意向を示した。

また、目標年度等は後発品の安定供給の状況等に応じて柔軟に対応。2026年度末を目途に状況を点検し、必要に応じて目標のあり方を検討するとした。

新たな目標も踏まえた医療費適正化計画に向けて、厚労省は、「後発品の数量ベースでの使用割合が高い都道府県は金額ベースでの使用割合も高い傾向にあるが、後発品の使用が進んでいても、バイオ後続品の使用割合が低い都道府県が見られる」と指摘。

このため、2024年度からの「第4期医療費適正化基本方針」に後発品にかかる新たな政府目標を位置づけ、当該目標の達成に向けた都道府県の取り組みとして、後発品の使用促進の効果が確認されている差額通知の実施など、保険者等による後発品の使用促進にかかる取り組みを支援するとした。

また、医薬品の適正使用の効果も期待される「フォーミュラリ」について、都道府県域内の医療関係者に「フォーミュラリの運用について(令和5年7月)」の周知をはじめとした必要な取り組みを進めることが考えられると示唆。

都道府県に対しては、金額ベースの使用割合を薬効分類別に示すなど、必要なデータを提供し、医療費適正化の取り組みを推進できるよう支援する対応を示した。

健保連の佐野雅宏副会長は、「後発品の使用促進による医療費適正化を不断に進めていく観点から、新たに金額ベースの目標を設定することに異論はない」と言及。

そのうえで、「後発品の使用が進んでいても、バイオ後続品の使用割合が低い都道府県が見られる」と指摘し、バイオ後続品の使用割合が低い都道府県の原因を分析して対策を検討するよう要望した。

また、新目標にもとづき、さらに後発品の使用を促進していくためには、安定供給や品質確保策の徹底、再編を含めた業界の改革への取り組み強化、マイナポータルの活用など、医療DXを前提とした新たな促進策の検討も必要との考えを示した。

北川博康委員(全国健康保険協会理事長)は、「バイオシミラーは、ジェネリック医薬品に比べ、患者の選択よりも医療機関側の選択が大きく影響する」と指摘。

フォーミュラリは、地域の医療関係者や都道府県、各保険者が連携して対応していく必要があるとの見解を示し、ガイドラインの周知やデータ提供など、積極的な支援を厚労省に求めた。

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