HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2024年2月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2024年2月中旬号

急性期一般入院料1で公益裁定
医療看護必要度 評価項目と患者割合見直し
平均在院日数は16日に短縮

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は1月31日、令和6年度の診療報酬改定に向けて、個別改定項目を議論した。このなかで、「急性期一般入院料1」における平均在院日数、「重症度、医療・看護必要度」の評価項目と該当患者割合の基準見直しに対し、支払側と診療側の意見の隔たりが大きく、公益側の裁定により決着した。平均在院日数の基準を現行の「18日以内」から「16日以内」に短縮したうえで、該当患者割合の基準を①A3点以上またはC1点以上②A2点以上またはC1点以上─に区分し、①20%、②27%─の基準値を設定。患者の状況等を評価してきたB項目は廃止することとした。

令和6年度の次期診療報酬改定に向けては、入院患者の状態に応じた適切な評価を行う観点から、旧7対1入院基本料相当の「急性期一般入院料1」における「平均在院日数」、「重症度、医療・看護必要度」の評価項目や該当患者割合の基準について、議論が行われてきた。

2年前の4年度改定では、「心電図モニターの管理」の評価項目Aからの削除など、「重症度、医療・看護必要度」の見直しにより、15%程度の医療機関が基準を満たさなくなることが想定されていたにもかかわらず、現状では「急性期一般入院料1」の病床数は増加していることが明らかになっている。

1月10日の中医協総会では、厚生労働省が「急性期一般入院料1」における「重症度、医療・看護必要度」にかかる評価項目と該当患者割合の基準について、4つの見直し案を提示した。

評価項目は、モニタリングおよび処置等を評価する「A項目」の「救急搬送後の入院」、「緊急に入院を必要とする状態」の評価日数(現行5日間)を「1日」と「2日」に厳格化するほか、「抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)」の入院使用率が60%未満の薬剤を対象から除外したうえで得点(現行2点)を「3点」とした。手術等の医学的状況を評価する現行の「C項目」は据え置く。

該当患者割合は、現行の「B項目(患者の状況等)」を除外したうえで、①「A3点以上」または「C1点以上」に該当する患者の割合、②「A2点以上」または「C1点以上」に該当する患者の割合─を基準とし、基準値を①15%、18%、②24%、28%─と設定。①と②のいずれも満たすことを施設基準とした。

最も影響が大きい「見直し案1」では19.7%(必要度Ⅰ29.6%、必要度Ⅱ17.4%)、最も影響が小さい「見直し案4」では1.5%(同5.4%減、同0.9%減)の病院が「急性期一般入院料1」の基準を満たせなくなるシミュレーションが明らかになった。

これに対し、支払側は、将来の医療ニーズおよび人口構成の変化を踏まえ、▽限られた医療資源を集中的に投入するためにも、病床の集約化を図るべき▽平均在院日数の基準は14日以内とすべき▽見直し案1を採用したうえで、該当患者割合もさらに引き上げるべき─と強調。

診療側は、医療提供体制への影響の観点から、▽案4よりもさらに影響の小さい見直しを検討すべき▽平均在院日数の基準は現行の18日以内から変更すべきでない▽該当患者割合も慎重に検討すべき─と主張した。

この日の会合でも両側の意見の隔たりは大きく、議論を続けても合意に至らない事態を想定し、公益側が裁定案をまとめた。

公益裁定は、患者の状態に応じた適切な入院料が選択され、医療資源が適切に配分されるよう、地域医療に配慮しつつ、「急性期一般入院料1」から他の入院料への転換を含めた適切な機能分化が促される取り組みを進めることが重要と指摘。

今回の改定で、後期高齢者の中等症の急性疾患ニーズに応える「地域包括医療病棟」が新設されることなどを考慮すると、「該当患者割合の基準を一定程度高く設定することが、将来の医療ニーズと人口構成の変化を踏まえ、入院患者の状態に応じて適切に医療資源を投入する体制の構築を進めるに当たり重要」との考えを示した。

このため、平均在院日数の基準は「16日以内」へと現行の「18日以内」から2日短縮したうえで、A項目(一部)の評価日数を「2日」、得点を「3点」とする「見直し案4」を採用した。

シミュレーションで示された実態を踏まえつつ、「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合の基準を①「A3点以上」または「C1点以上」に該当する患者の割合、②「A2点以上」または「C1点以上」に該当する患者の割合─に分け、①20%、②27%─の基準値を設定。許可病床別の基準値は設けない。

他方、「急性期一般入院料2~5」の「重症度、医療・看護必要度」は、「見直し案4」による項目の見直しを行ったうえで、▽「A2点以上かつB3点以上」、「A3点以上」または「C1点以上」に該当する患者の割合─の基準値について「必要度Ⅰ」と「必要度Ⅱ」の間に「1%」の差を設ける。

該当患者割合の基準値は、▽急性期一般入院料2(必要度Ⅰ22%、必要度Ⅱ21%)▽同3(同19%、同18%)▽同4(同16%、同15%)▽同5(同12%、同11%)─となる。
 このほか、特定機能病院入院基本料(7対1)等の入院料や、その他の加算等の施設基準における該当患者割合の基準は、同様の考え方にもとづき、適切に定めることとした。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年