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健保ニュース 2023年12月中旬号

健保連愛知連合会が時局講演会
医療DXテーマに与野党議員討論

健保連愛知連合会(会長・鬼村洋平トヨタ自動車健保組合理事長)は2日、健保連本部との共催で、自民党の丹羽秀樹衆院議員、国民民主党の古川元久衆院議員を招き、名古屋市内で時局講演会を開催した。愛知県内の健保組合関係者を中心に約120人が集まった。

冒頭、あいさつしたトヨタ自動車健保組合の笹山秀彦常務理事は、全国で時局講演会を開催しているが、与野党の国会議員が党派を超えて開催したのは愛知が初めてと報告。出席した丹羽氏、古川氏に対し健保組合の主張に理解いただくとともに、健保組合の持つ力をこれからの日本に生かして欲しいと述べた。

講演で丹羽氏は少子高齢化が進むなか、国民の健康寿命を延伸させ、国民の財産である国民皆保険制度の持続可能性を高めるために、医療DXは不可欠であるとの考えを説明。今年決定した医療DXの推進に関する工程表では、①国民のさらなる健康増進②切れ目なく質の高い医療等の効率的な提供③医療機関等の業務効率化─などの実現が目的となっているが、こうした内容を実現するうえで、中核となるのがマイナンバーカードの健康保険証との一体化だと言及した。そのため政府は、マイナ保険証の信用度を高め、国民の不安を払拭する取り組みが今後も不可欠との考えを示した。さらにマイナ保険証については、「限度額適用認定証」を提示する必要がなく、限度額を超える支払いが免除されるほか、全国の医療機関や薬局の医療情報をつなぐプラットフォームとなり、電子カルテなどの情報を共有、重複投薬の抑制にもつながると、そのメリットを強調した。そのうえで丹羽氏は、「マイナンバーカードの健康保険証の一体化、医療情報をつなぐプラットフォームの構築といった医療DXを推進し、将来の世代が安心して暮らしていけるような社会保障制度を構築しなければならない」と述べた。

続いて講演した古川氏は、医療DXは時代の要請であり、やり遂げなければならないことと強調。しかし、現時点では構想段階の状況で、システムを作り、すべての内容が運用されるまでにはかなりの時間がかかると指摘した。さらに工程表の予定どおりに無理矢理合わせようとすると、マイナ保険証の資格情報の誤登録のような弊害が生じると懸念を表明。「デジタル化は、アナログからデジタルへの変換ということで、その過程には人手のかかる部分が発生し、ミスも起こる。さらに制度やシステムに対する安心度が欠落していると、トラブルが発生した時に反対論が起こり、推進できなくなる。そのため、医療DXを推進するには多くの人手を確保し、正確性を高め、システムに対するセキュリティーを高め、信頼性を確保することが重要」と話した。また古川氏は、「マイナンバーカードは、住民基本台帳カードがベースとなっているが、多数の訴訟を提起され、最高裁で住民基本台帳カード番号の使い方に制限がかかった。そのため、マイナンバーカードでは個人情報保護を徹底するため、複雑な制度設計を行った」とこれまでの経緯を説明。そのうえで、利便性や効率化を求める部分もあるが、そればかりを優先させるのでなく、セキュリティーとの両面について、バランスよく検討を進めていくことが不可欠と指摘した。

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