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健保ニュース 2023年12月中旬号

長期収載品の保険給付のあり方
医療保険部会が見直し案を了承
選定療養 負担範囲など中医協で検討

社会保障審議会医療保険部会(田辺国明会長)は8日、厚生労働省が提示した「イノベーション推進と安定供給確保に向けた長期収載品の保険給付のあり方の見直し案」を了承した。

「見直し案」は、保険給付と選定療養の負担にかかる範囲は、「長期収載品と後発医薬品の価格差の少なくとも2分の1以下」とする方向性を示し、具体的な範囲は中央社会保険医療協議会で年内に検討。見直しの施行時期も含め、年末の令和6年度予算編成過程で決定する。

この日の会合では、薬剤自己負担見直しに関するこれまでの医療保険部会での主な意見を踏まえ、厚労省が、「イノベーション推進と安定供給確保に向けた長期収載品の保険給付のあり方の見直し案」を提示した。

医療保険財政のなかでイノベーションを推進するため、後発品の安定供給を図りつつ、長期収載品の保険給付のあり方を見直す。

長期収載品について、医療上の必要性があると認められる場合等は保険給付するという前提に立ちつつ、後発品が存在するなかでも患者の希望により長期収載品が使用されることがある実態も踏まえ、選定療養を活用することとした。

そのうえで、長期収載品の保険給付のあり方について、①保険給付と選定療養の適用場面②選定療養の対象品目の範囲③保険給付と選定療養の負担にかかる範囲④その他─を具体的な論点として示した。

このうち、①は、患者希望により長期収載品を処方した場合や一般名処方の場合は、長期収載品の使用について、選定療養とする。他方、薬局に後発品の在庫がないなど、後発品を提供することが困難な場合は、患者が後発品を選択できないことから、保険給付の対象とすることとした。

②は、後発品上市後5年を経過した長期収載品や、置換率が50%に達している長期収載品を選定療養の対象とする。

③は、「長期収載品と後発品の価格差の少なくとも2分の1以下」とする方向とし、2分の1、3分の1、4分の1といった具体的な範囲の定め方について、中医協で検討を進めることとした。

このほか、④は、▽薬剤定額一部負担▽薬剤の種類に応じた自己負担の設定▽市販品類似の医薬品の保険給付のあり方の見直し─について、引き続き検討する必要があるとした。

健保連の佐野雅宏副会長は、厚労省の見直し案に賛成する一方、「実効性を持たせるためには、医療上の必要性があると認められる場合、具体的な理由をレセプトに明記するなど、処方、調剤の段階で明確になるような仕組みの整理が重要」との考えを示した。

中村さやか委員(上智大学経済学部教授)も、「医療上の必要性については、医師が理由を記入するなど、客観性が担保される仕組みが必要」と指摘した。

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