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健保ニュース 2023年11月中旬号

6年度診療報酬改定の基本方針
厚労省が人材確保を重点課題
佐野副会長 保険財政の危機感訴える

社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭会長)は10月27日、令和6年度診療報酬改定の基本方針策定に向けて3回目の議論を行った。

この日の会合では、過去2回の議論を踏まえ、厚生労働省が、①改定に当たっての基本認識②改定の基本的視点③具体的方向性─を提示した。

このうち、①は、▽物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応▽全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応▽医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現▽社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和─の4項目に整理。

また、②は、▽視点1「現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」▽視点2「ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」▽視点3「安心・安全で質の高い医療の推進」▽視点4「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」─の4点を柱とした。

厚労省は、現下の雇用情勢に加え、長期的にも人口構造の変化により支え手が不足する状況のなか、人材確保が大きな課題となっていることに鑑み、「視点1」を重点課題に位置づけた。

「視点4」では、「長期収載品等の保険給付のあり方の見直し」や「リフィル処方箋の活用」、「医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方推進」を「具体的方向性」として例示した。

健保連の佐野雅宏副会長は、「重点課題が視点1の人材確保・働き方改革の推進だけというのは、保険財政に関する危機感が乏しいと言わざるを得ない」と発言。

生産年齢人口の減少が続く一方、団塊の世代が後期高齢者となり、医療費の高騰が見込まれるなか、「これまで以上にメリハリのある診療報酬にするために、視点4を重点課題とすることは不可欠」と強調した。

保険財政を維持するためには、今回、新たな課題として挙げられた物価高騰を踏まえた対応や、長期収載品等の保険給付のあり方の見直しなどのように、患者が個人で負担するものと、公的保険で給付することを明確に切り分ける必要があると指摘。

視点1については、患者や保険者の視点を踏まえ、全体として賃上げを行うのではなく、医療資源の適切な配置により生産性を高めて、医療を効率化、最適化すべきとの考えを示した。

一方、猪口雄二委員(日本医師会副会長)は、視点1の「現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」が重点課題に位置づけられたことを評価し、物価・賃金上昇を報酬改定に十分反映するよう訴えた。

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