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健保ニュース 2023年11月中旬号

公明党議員懇話会が健保連と意見交換
谷合会長 重点要望の実現へ対応
政府の政策、予算に反映めざす

公明党は7日、衆議院第1議員会館で健康保険組合議員懇話会(谷合正明会長)を開催し、健保連から政策課題および予算要望を聴取したうえで、意見交換を行った。

公明党の谷合会長は、今後も健保組合の厳しい財政状況が続く見込みのなか、全世代型社会保障の構築により国民皆保険を守っていくための取り組みが求められると言及。健保組合・健保連の要望実現に向けて、党の厚生労働部会、政務調査会、渉外委員会と連携し、政府の政策、予算に反映できるよう、議員懇話会として対応していく意向を示した。

この日の会合では、健保連本部、全国総合健保組合協議会(全総協)、東京都総合健保組合協議会(東総協)の役員が出席。健保連の佐野雅宏副会長が、令和6年度予算ならびに5年度補正予算に向けた重点要望事項について説明した。

佐野副会長は、5年度の健保組合財政について、高齢者拠出金が前年度比2443億円(7.2%)と急激に増加し、保険給付費(6.6%増)および高齢者拠出金(7.2%増)の高い伸びも影響して、収支は3600億円の赤字に転落すると予測。6年度以降は、毎年増加する拠出金により、さらなる財政悪化を見通した。

そのうえで、①少子化対策関係②令和6年度の診療報酬・介護報酬同時改定関係③マイナンバーカード・保険証を基盤とした医療DXの推進④予算への要望(令和5年度補正予算・令和6年度政府予算)─の4本を柱とする「健保組合・健保連の重点要望等」を中心に主張を展開した。

①は、「支援金制度(仮称)の創設」と「医療保険者を通じた財源の拠出」について、▽被用者保険の加入者のみならず、国保の加入者や後期高齢者にも負担を求め、全世代で拠出する▽社会保険から拠出する主旨や理由づけを国が示し、一般・介護とは別勘定とし、拠出額を明確にする▽国が被用者保険者一律の負担割合(率)を設定する等、被保険者・事業主への説明責任を国が負う(組合会議決事項の対象外)─ことの3項目を要望。

あわせて、介護納付金についても新たな拠出金と同様に説明責任を国が負うこととし、組合会議決事項の対象外とするよう訴えた。

他方、現役世代の負担軽減の観点から、「後期高齢者現役並み所得者への公費投入」や医療・介護における「保険給付範囲や自己負担の見直し」など、「歳出改革の徹底」を要求。財政全体の見直しや税を含めた財源のあり方についての検討を求めた。

②は、▽医療・介護等の適切な役割分担と円滑な連携▽かかりつけ医機能の強化▽病床機能の分化・強化と連携の推進▽長期収載品等の自己負担を含む保険給付のあり方の見直し─を要望。患者・利用者、国民、事業主の負担を考慮した改定を実施するよう求め、薬価改定で生じた財源は国民に還元すべきと強調した。

③は、▽加入者情報の正確性を担保するための事務・費用負担▽保険者が円滑に遂行するために新たに必要となる事務やシステム改修等の負担▽正確な情報の迅速な登録のための電子申請の拡大▽マイナ保険証利用促進のための取り組み─が保険者に求められるとした。

さらに、④は、▽4年度経常収支は全体の4割(559組合)が依然赤字▽5年度は保険給付費の高い伸びや拠出金の反動増で大幅赤字の見込み▽6年度以降、毎年増加する拠出金によりさらなる財政悪化が見込まれる─などの状況を踏まえ、(1)高齢者医療運営円滑化等補助金等、現役世代負担軽減措置の確実な実行(2)確実かつ円滑なマイナンバーカード・保険証の一体化に向けた財政支援(3)職域を通じた少子化対策推進への財政支援─を強く訴えた。

(1)については、今年の通常国会で審議、成立した医療保険制度改革関連法(改正健保法等)と関連し、昨年末の財務、厚労両大臣合意にもとづき6年度に実施される予定の430億円規模の健保組合に対する追加財政支援措置を確実に実施するよう主張した。

(2)は、国を挙げた周知広報等の施策が必要とし、保険者としても関係者と連携したさらなる周知広報を強化するための支援を国に要望。

また、(3)は、健保組合として「少子化対策」を進めるために必要な財政支援を求めた。
 続いて、全総協の後藤利美専務理事が、加入者の約4割は中堅・中小企業等の従業員と家族で構成される健保組合の現状を説明した。

収入と支出を均衡させるために必要な実質保険料率について、令和4年に総合健保組合が協会けんぽを上回るという厳しい組合財政の状況を訴えた。

その後の質疑応答では、健保組合の厳しい財政見通しを危惧する意見や少子化対策関係の要望を政府の検討の場で適切に表明することが重要と指摘する意見、マイナ保険証利用のための周知・広報の推進を求める意見などがあり、認識を共有した。

谷合会長は会議終了後、記者の取材に応じ、「健保組合・健保連の重点要望をしっかり受け止め、実現に向けて働きかけていく」と発言。党の厚生労働部会、政務調査会、渉外委員会と連携し、政府の政策や予算に反映できるよう対応していく意向を表明した。(公明党健康保険組合議員懇話会に出席した国会議員(本人)、健保連側参加者は次のとおり。敬称略)


衆議院 伊佐進一(厚生労働部会長)、日下正喜(組織局次長)、佐藤英道(団体渉外委員会副委員長)、吉田久美子(厚生労働副部会長)
参議院 里見隆治(厚生労働副部会長)、谷合正明(幹事長代理)、新妻秀規(国際委員会国際局次長)、安江伸夫(文部科学大臣政務官)、山本香苗(政務調査会長代理)
健保連 副会長・佐野雅宏、専務理事・河本滋史、常務理事・伊藤悦郎、総務理事・森岡昭宏、理事・田河慶太
全総協 専務理事・後藤利美、顧問・浅野廉敏
東総協 副会長・黒田詠一、常務理事・清水英一

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