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健保ニュース 2023年9月上旬号

中医協が再生医療等製品を承認
松本理事 適切な患者選定を要請

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は8月23日の総会で、再生医療等製品1品目の保険適用を承認。同品目は8月30日付で薬価基準に収載される。

今回承認された再生医療等製品は、両アレル性RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィー治療用の「ルクスターナ注」。薬価は、同じ効果を持つ類似薬がない新規医薬品に適用する「原価計算方式」により「4960万226円」と算定した。

ピーク時における年間の国内患者数は5人で、市場規模は5億円と予測。希少疾病用再生医療等製品に指定されているため、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の対象に該当し、市場実勢価格にもとづく薬価の引き下げが猶予され、一定程度、現行の薬価は維持される。

健保連の松本真人理事は、予測患者数が極めて少ないと指摘したうえで、「両眼に投与した場合、薬剤費は1人当たり約1億円と高額になるため、保険者に多大な財政影響を与えることは自明の通りだ」と言及。医療現場で適切に患者を選定するよう要請した。また、メーカーに対し、国内での治験症例が少ないことを踏まえ、安全性と有効性に関するデータを収集し、適切な使用を推進するよう求めた。

このほか、23日の中医協総会では、新規医薬品6成分6品目を8月30日付で薬価収載することを承認した。

このうち、原価計算方式で算定された「オンキャスパー点滴静注用3750」は有用性加算Ⅱ(5%)と小児加算(5%)の対象となったが、製造原価の開示度が50%未満のため、補正加算を乗じずに薬価を算定した。

令和4年度薬価制度改革は、薬価の透明性を確保する観点から、原価計算方式における製造原価の開示度向上をめざし、開示度50%未満の場合の加算係数を「0.2」から「0」へと厳格化。いわゆる「ブラックボックス」から「ホワイトボックス」への転換を図った。

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