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健保ニュース 2023年8月下旬号

令和5年厚生労働白書
福祉ニーズ多様化 「つながり・支え合い」を重視
地域共生社会の実現めざす

厚生労働省は1日の閣議に「令和5年厚生労働白書」を報告した。

社会保障を取り巻く環境と人々の意識の変化の下で福祉ニーズが多様化していると指摘。▽ひきこもり▽ヤングケアラー▽8050問題─などを課題が複雑化・複合化した「制度の狭間にある課題」と位置づけたうえで、「家族が課題に対応する機能は低下している」との見解を示し、「つながり・支え合いのある地域共生社会」の実現を提言した。

白書は、人口構造や世帯構成が変化するなか、高齢化や未婚率の上昇により核家族や単身世帯が増加し、家族や地域のつながりが弱まっていると指摘する。

日本の人口は平成28年の1億2808万人をピークに減少に転じ、令和4年では1億2495万人だが、52年には30%減の9千万人割れを見込む。出生数は4年に80万人を割り込む一方、7年にはすべての「団塊の世代」が後期高齢者に、22年にはすべての「団塊ジュニア世代」が前期高齢者になり、52年には高齢化率が38.7%になると推計されている。

また、2年の単独世帯は2115万世帯で、世帯数の4割を占めるなど増加傾向にあり、1世帯当たり人員は2年の2.21人から22年には2.08人に減少することが見込まれている。

さらに白書は、非正規雇用労働者の長期的増加などを起因とした企業の雇用保障力の弱まり、会社への帰属意識の低下による職場の人間関係の希薄化に言及。

他方、地域社会では形式的なつき合いを望む人が増え、新型コロナウイルス感染症も影響し、人間関係が希薄化。孤独・孤立の問題が表面化したと指摘した。

社会保障を取り巻く環境の変化と人々の交流の希薄化などを背景に、福祉ニーズが多様化していると分析。分野横断的な対応が求められている課題として、ひきこもりやヤングケアラー、8050問題などをあげ、制度や「支え手」、「受け手」の関係を超えた「つながり・支え合い」により、人々がつながりを持ちながら安心して生活できる「地域共生社会の実現」を提言した。

地域共生社会の実現に向け、▽包括的「つながり・支え合い」▽人々の意欲・能力が十分発揮できる「つながり・支え合い」─の創出を事例とともに提案。

行政による支援の土台、地域住民や地域行政による取り組みに加え、こども食堂や高齢者の見守り、交流の場や居場所づくりといった様々な分野で地域活動を行う労働者協同組合、NPO法人、社会福祉法人、企業など多様な主体による地域づくりの取り組みが協働することで、それぞれの地域のつながりを再構築し、課題に応え、住民の暮らしと地域社会に一層の豊かさをもたらすと強調した。

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