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健保ニュース 2023年6月下旬号

中医協が働き方改革推進を議論
地域医療確保加算のあり方論点
松本理事 継続の可否含めた議論を

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は14日、令和6年度の次期診療報酬改定に向けて、働き方改革の推進をテーマに議論した。

医師の働き改革の推進に向けては、地域の救急医療体制で重要な機能を担う医療機関への評価として、2年度改定で「地域医療体制確保加算(520点)」を新設した。

4年度改定では、「地域医療体制確保加算」の対象に周産期または小児救急を担う医療機関を追加するとともに、評価を「620点」へ増点。合わせて、医師の働き方改革をより実効的に進めるため、「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」に沿った計画の作成を要件に追加した。

厚生労働省の調査によると、「地域医療体制確保加算」を算定している医療機関は直近で1045施設となり、2年7月の944施設から100施設以上も増えている。

一方、6年4月から医師について時間外労働の上限規制が適用され、診療従事勤務医には年960時間の上限規制が適用されるなか、「地域医療体制確保加算」を算定している医療機関で、時間外労働時間が月80時間(年960時間相当)以上の医師の割合は2年(5.18%)から4年(5.76%)にかけて増加している現状が明らかになった。

厚労省は、6年度から働き方改革に向けた継続的な取り組みが求められるなか、これまでの医師をはじめとした医療従事者の働き方改革の取り組みや診療報酬上の対応を踏まえ、働き方改革の推進に対する診療報酬上のあり方を論点として提示した。

健保連の松本真人理事は、総論として、「働き方改革は、適切な医療のかかり方や地域医療構想にもとづく医療提供体制の見直しと表裏一体の関係にある」と指摘。

効率的・効果的な医療提供体制の整備や医療機能の分化・強化、連携の推進が勤務医の負担軽減に寄与するとの共通認識のもと議論を進めていくべきとの考えを示した。

各論では、「地域医療体制確保加算を算定している医療機関で、時間外労働時間が月80時間以上の医師の割合は増加しており、政策効果に疑問があると言わざるを得ない」と追及し、同加算の継続の可否を含めた議論が必要と問題提起した。

仮に、同加算を継続する場合、「計画の作成だけでなく、労働時間短縮などの実績を要件とする見直しが必須だ」と強調。同加算の見直しや廃止の期限を明確化していく対応も重要な論点になるとの認識を示した。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「これまで診療報酬や基金等による様々な後押しが行われてきたが、医療従事者の働き方改革は一朝一夕にできるものではなく、さらなる強力な支援が必須だ」と言及。

そのうえで、「働き方改革は始まったばかりで、これからが本番だ」と主張し、「本番に向けて絶対に必要となる地域医療体制確保加算の廃止はあってはならない」との見解を示した。

このほか、松本理事は、「重症度の高い患者が入院しているICU等は専任の医師が治療室内に常時勤務していることが高い診療報酬の前提となっている」と指摘し、ICU等の医師配置に宿日直で対応できないことを明確化するとともに、宿日直で診療報酬上対応できる業務を整理するよう厚労省に要請した。

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