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健保ニュース 2023年5月合併号

経団連が社会保障・税制など提言
社保料と税の適切なバランスを

日本経済団体連合会(十倉雅和会長)は4月26日、「サステイナブルな資本主義に向けた好循環の実現」と題する「報告書」をまとめ、公表した。

「報告書」は、様々な社会課題の解決と持続的な経済成長をめざす「サステイナブルな資本主義」において、「分厚い中間層」が中心的な役割を担い、その形成は経済活動を活発化させ、少子化対策にも寄与すると指摘。

2030年を目途に分厚い中間層を形成するため、▽マクロ経済政策▽社会保障・税制▽労働政策─を大きな柱とし、全体感を持って取り組む必要があると提言している。

「社会保障・税制」では、国民の安心につながる全世代型社会保障を「成長と分配の好循環」の基盤に位置づけ、「公正・公平な仕組み」のもとで適切な給付と負担を実現する観点から、適切な負担のあり方や働き方に中立的な仕組みなど今後の方向性を明示。

適切な負担のあり方については、日本の世帯所得が低迷しているなか社会保険料の負担は増大し、現役世代の可処分所得をさらに下押ししていると問題提起した。

2000年から2020年までの20年間で、国民所得は0.96倍と伸び悩む一方、社会保障負担は1.46倍と大きく上昇し、医療保険では高齢者向けの給付が年々増え、2019年度に健康保険組合の経常支出の4割以上を占めていると指摘。

高齢化の進展と生産年齢人口の急減で現役世代の負担はさらに重くなり、社会保障制度に対する国民の安心感は確保されないと懸念した。

このため、社会保障制度を支える財源について、公正・公平な観点から、高齢者も含む国民全体に対し、負担能力に応じた負担を求めることで現役世代の保険料負担増を抑制していく必要があると強調。社会保険料と税のより適切なバランスを検討し、消費税を含む様々な税財源の組み合わせによる新たな負担も選択肢とするよう提言した。

負担能力の正確な把握を進めていくため、マイナンバーを徹底的に活用し、DXを推進していくことが必要との考えも示した。

他方、働き方に中立的な仕組みについては、被用者保険のさらなる適用拡大を推進し、賃金要件と賃金の持続的な引き上げで事実上の「106・130万円の壁」の解消をめざすべきと訴えた。

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