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健保ニュース 2023年5月合併号

参院厚労委が参考人招致
経団連井上氏
全社構築に向けた第一歩

参院厚生労働委員会(山田宏委員長、自民)は4月27日、参考人4名を招き、健保法等改正案に対する意見を聴取し、質疑した。参考人には被用者保険関係団体から、井上隆氏(日本経済団体連合会専務理事)が参加し、法案に賛成の立場から意見発表した。

井上氏は、法案を全世代型社会保障制度の構築に向けた第一歩と位置づけ、引き続き高齢者と現役世代の給付と負担のアンバランスを是正し、分厚い中間層の形成に取り組むよう求めた。

参考人には井上氏のほか、▽三原岳氏(株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員)▽菊池馨実氏(早稲田大学理事・法学学術院教授)▽山本淑子氏(全日本民主医療機関連合会社会保障政策部担当役員)─が招致された。

井上氏は、健保連の令和5年度健保組合予算早期集計から健保組合は5年度に5623億円の経常赤字が見込まれ大変厳しい状況にあるとして、今回の改正にあわせて政府が実施する健保組合への財政支援を評価した。

また、分厚い中間層がサステイナブルな資本主義を支えるとして、その形成に向けて社会保障・税制、労働政策、経済財政運営に全体感をもって一体的に取り組む必要があると指摘。分厚い中間層がしっかりと経済成長を担うことが社会保障制度の安定、少子化の歯止めにつながると主張した。

三原氏は、かかりつけ医機能に関し見直しの方向性を評価しつつ「遅きに失した」と感想を述べた。制度設計にあたっては、公開する情報を国民目線で議論するよう求めるとともに、ケアの責任体制の明確化とフリーアクセスの維持とのトレードオフにどう対応するか考えていかなければならないと言及した。

また、医療保険制度について、受益と負担の関係性が明確な社会保険方式のメリットが機能していないとして、制度の複雑化を止める努力の必要性を指摘した。

菊池氏は、「負担は少なく、給付は削っていけないという意識が広がっているようにみられる」と指摘。連帯、支え合いというこれまで存在していた社会保険を基礎づける人々の意識をもう一度この制度改革を通じて取り込んでいく改正を求めた。

山本氏は、法案について、高齢者が経済的な理由で受診を抑制したために症状が悪化した事例を踏まえ、廃案とするよう要請した。また、将来、十分な社会保障給付を受けられないならば全世代が安心できる未来を描けないとして、社会保障予算全体を大きくし、全世代の社会保障を拡充するよう求めた。

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