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健保ニュース 2023年4月中旬号

支払基金との令和5年度契約を締結
さらなる改革の推進を
支払基金、厚労省に要請書を提出

健保連は令和5年4月1日付で、社会保険診療報酬支払基金(神田裕二理事長)と令和5年度診療報酬の審査支払事務手数料や診療報酬等の納入期日などを定めた契約を締結。これに合わせ、健保連の佐野雅宏副会長、松本真人理事らが3日、支払基金本部と厚生労働省を訪ね、神田理事長と同省保険局の原田朋弘保険課長に要請書を手交した。

支払基金の神田理事長あてに提出した要請書は、支払基金の5年度事業計画を踏まえ、新体制による支払基金改革の推進などを求める。また、同日付の厚労省伊原和人保険局長あての要請書は、支払基金改革のさらなる推進などを求めた。

佐野副会長は、厚労省に対し4年度以降の決算剰余金や、5年度以降の施設および設備準備積立預金の積み立てなどの取り扱いについて、昨年度と同様に厚労省も参画するワーキンググループを設け、検討することを呼び掛けた。

4月1日付で支払基金と契約した5年度の契約内容は、①審査支払事務手数料(レセプト1件あたり)医科・歯科(一般レセプト)71.60円、医科・歯科(判断が明らかなレセプト)41.50円、調剤35.20円②レセプト電子データ提供事業利用料(レセプト1件あたり)電子レセプト1.50円、紙レセプト8.70円(基本セット5.20円、オプション3.50円)③出産育児一時金の支払にかかる手数料105円─など。

5年度の審査支払事務手数料は、手数料を引き上げないかたちで階層化を実施。「判断が明らかなレセプト」と「その他のレセプト」に区分し、手数料を2階層化するとともに、平均手数料を前年度から1.60円引き下げ58.30円とした。そのうえで、支払基金の5年度事業計画の基本方針において、手数料のさらなる階層化を検討するとした。

人が審査しないレセ増加
手数料3階層化など要望

支払基金に対する要請書は、①人による審査を必要としないレセプトを9割とすることの実現および審査の質の向上②審査・実務の着実な遂行およびその効率化効果の保険者への提示③審査支払事務手数料の3階層化④セキュリティポリシーや業務マニュアルに定められた業務の徹底─といった支払基金改革の成果の還元を要望した。

③は、審査区分ごとのコスト構造や中期財政の見通しを示し、保険者にとって納得性のある手数料の3階層化(判断が明らかなレセプト、コンピュータチェックで完結するレセプト、人の目で審査するレセプト)の導入について、議論を進めるよう求めた。

このほかにも、▽複数年度の視点を必要とする課題の解決▽審査における不合理な差異解消の取組▽医療DX関連事業の推進─などを要望した。医療DX関連事業の推進では、電子処方箋のリフィル対応等の改善の確実な実施を要望した。

厚労省に対しては、支払基金に提出した「要請事項」─に盛り込んだ各項目に対する支援を求めた。このうち、複数年度の視点を必要とする課題の解決においては、委託金の引き下げおよび適正水準の検討を要請した。

原田保険課長は、支払基金改革の推進について、1つひとつ取り組みを進め、できる限り効率化をしていくと言及。審査支払事務手数料については、「引き続き議論する必要があり、早い段階で整理を行い、具体的な検討を進めてほしい」と述べ、委託金についても引き続きの検討課題として議論する考えを示した。

また、審査業務の効率化・審査基準の統一化等は、取り組みが必要な重要課題との認識を示したほか、医療DX関連事業については、「健保連と相談しつつ進めていきたい」と言及した。

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