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健保ニュース 2023年3月下旬号

立憲民主党が健保連にヒアリング
河本専務理事 現役世代の負担軽減を

立憲民主党の厚生労働部門会議(部門長・早稲田ゆき衆院議員)は8日、政府が今国会に提出した「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」への対応に向けて、健保連にヒアリングを実施した。

会議に出席した議員からは、同法案に盛り込まれた「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」に意見が集中した。

早稲田部門長は冒頭のあいさつで、「重要広範議案である全世代型社会保障関係の議論に資するよう皆さんの意見をしっかり承りたい」と述べた。

健保連の河本滋史専務理事は、全世代型社会保障の構築に向けた医療保険制度改革等について、後期高齢者の保険料負担割合の見直しや、出産育児一時金の一部を後期高齢者が支援する仕組みの導入など、高齢者も負担する内容となったことは、▽現役世代の負担軽減▽世代間・世代内の負担バランスの見直し▽負担能力に応じた見直し─の観点から評価した。

また、今般の改革により、被用者保険への支援として高齢者医療運営円滑化等補助金の拡充に加え、財政支援への制度化が示されたことは、被用者保険関係5団体とともに、改革により削減した公費財源を現役世代の負担軽減に全額充てるべきと主張するなど精力的な要請活動を行ってきた成果と言及。

一方、前期高齢者納付金の1/3の部分に報酬水準に応じた調整を導入する見直しは、健保組合全体からみると負担増となると指摘し、「さらなる報酬調整の拡大は断じてあってはならない」と強く訴えた。

医療提供体制については、かかりつけ医機能の発揮を促す方向性が示されたことに賛意を示したうえで、「今回の内容は、かかりつけ医機能が実現するための第一歩であり、ゴールでなく、通過点に過ぎない」と述べ、さらなる取り組みが不可欠と強調した。

介護保険制度改革は、給付と負担の見直しにかかる結論が今夏に先送りされたことは大変遺憾であるとし、より踏み込んだ見直しを早急に検討し、確実に実施するよう要望。

政府に対しては、今回の法案の内容にとどまらず、後期高齢者の窓口負担原則2割や現役並み所得者の給付費への公費投入など、さらなる現役世代の負担軽減に資する改革を求めた。

河本専務理事の説明に対し、阿部知子衆院議員は、「新型コロナウイルス感染症に罹患したのに、かかりつけ医機能の診療報酬を算定している医療機関で診てもらえない」、「かかりつけ医は、いざという時に何もしてくれない」という声が多い現状の受け止めについて質問した。

これに対し、河本専務理事は、コロナ禍の反省を踏まえ、かかりつけ医が患者の義務を負う形に少しずつ進めていく視点が重要と主張。

また、保険者は国民・患者が主体的にかかりつけ医あるいはかかりつけ医療機関を選ぶための情報提供等の支援に取り組む必要があるとした。

川田龍平参院議員は、患者にとってニーズがある病院を患者が選ぶための仕組みをどこが中心になって進めていけばよいかと質問。

河本専務理事は、国民・患者が医療機関を選ぶことが大原則としたうえで、「かかりつけ医機能を報告・認定し、それをわかりやすく公表するのは行政の役割」との認識を示し、「保険者はその補完的機能を果たしうる」と言及した。

中島克仁衆院議員は、「かかりつけ医を基盤とした地域医療への再編は、国民皆保険創設以来の大改革にあたる」との認識を示したうえで、「今回の政府案は第一歩までいっていない」と問題提起し、認定制、登録する仕組みを速やかに検討する必要があると強調。かかりつけ医が登録制となる場合に望ましい診療報酬体系を質した。

河本専務理事は、かかりつけ医の診療報酬体系は議論の途上と言及し、個人的な意見として、「仮に診療報酬で評価する場合、個別の行為を出来高で評価するより包括的な評価が有力な選択肢になる」との見方を示した。

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