HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2023年3月下旬号

健保ニュース

健保ニュース 2023年3月下旬号

政府がデジ庁2法案を閣議決定
保険証廃止と資格確認書発行を規定
氏名の振り仮名は確実な照会へ

政府は7日の閣議で、デジタル庁関連2法案を決定し、即日国会へ提出した。
 同法案には、健康保険証の廃止とそれに伴う資格確認書の発行を盛り込んだ。また、健保組合がJ-LIS照会できる「氏名の振り仮名」を、戸籍や住民票などの必須の記載事項に追加する改正を行う。これまで、保険者が振り仮名についてJ-LIS照会した場合、行政側の登録が任意だったため照会できないことが起こり得た。改正後は、行政側の登録が必須となるため確実に照会可能となる。

同法案は、▽「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」(マイナンバー法等の一部改正法案)▽アナログ規制を見直し申請・届出等をオンライン化する「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案」(デジタル規制改革推進一括法案)─で構成する。施行時期は原則、前者が公布後1年3月以内、後者が公布後1年以内。

マイナンバー法等の一部改正法案は、①マイナンバーの利用範囲の拡大②マイナンバーの利用および情報連携に係る規定の見直し③マイナンバーと健康保険証の一体化④マイナンバーカードの普及・利用促進⑤戸籍等の記載事項への「氏名の振り仮名」の追加⑥公金受取口座の登録促進─を柱とする。

③は、マイナンバー法とともに医療保険各法を改正。健康保険証を廃止するとともに、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない者への「資格確認書」の提供を規定した。また、乳児に交付するマイナンバーカードは顔写真を不要とする。

政府の「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」が今年2月に公表した「中間とりまとめ」の内容を成案化した。

④は、振り仮名を戸籍、住民票等の記載事項に追加することで公的に証明するとともに、マイナンバーカードの記載事項等にも追加することで各種手続きの本人確認で利用できるようにする。今般の改正で措置する戸籍、住民票等以外への対象拡大や振り仮名の活用先の拡充などは今後の検討課題となっている。

なお、外国人は振り仮名追加の対象外とされている。
 デジタル規制改革推進一括法案は、政府のデジタル臨時行政調査会が昨年6月に決定した「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」を踏まえ、書面掲示とフロッピーディスク等の記録媒体にかかる規制を改正する。

健保組合関係では、被保険者が健保組合による保険給付、保険料徴収等に対する不服がある場合などに審査請求する社会保険審査制度において、決定を公示送達する際の掲示を書面のほかパソコンの画面を用いて電子的に行えることとする。

「見直しプラン」では、健保組合の主たる事務所に備え付けて置かなければならないとされている組合会会議録、事業報告および決算の閲覧が、見直しの対象となったが、健康保険法施行令の規定のため、法改正を要することなく見直し可能となっている。

河野デジタル相が会見
保険証継続は業務負担

河野太郎デジタル相は同日の閣議後記者会見で、マイナンバーカードと健康保険証の一体化のメリットについて、▽過去の薬剤情報や健診情報を医療機関、薬局に提供でき、診療の質の向上につながる▽重複投与が避けられるようになる▽医療機関、薬局、保険者においてレセプト返戻が低減する─と説明。そのうえで、健康保険証を廃止せず使用継続するデメリットを、▽医療機関における手作業の業務負担▽なりすましによる受診のリスク─が残るとして、廃止する意義を強調した。

なりすましや転売などの資格確認書の不正利用については、マイナンバーカードを紛失して資格確認書を発行した場合、マイナンバーカードの再発行後にマイナンバーカードと資格確認書の両方を保有することになる。

河野デジタル相は、健康保険証でなりすましによる受診があったことを踏まえ、対応を検討する意向を示した。具体的に、資格確認書を回収する場合、回収の実施者は資格確認書を発行する保険者、マイナンバーカードを再発行する市区町村が候補となり得るが、今後の課題となっている。

また、河野デジタル相は、デジタル規制改革推進一括法案について、いつでもどこでも必要な情報を確認できるようにすると趣旨を説明し、アナログ規制の一掃のため、成立に尽力する意向を示した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年