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健保ニュース 2023年3月上旬号

介護給付費分科会が4年度経営調査
伊藤常務理事 メリハリある評価を要請

社会保障審議会介護給付費分科会は2月20日に会合を開き、令和4年度介護事業経営概況調査の結果を聴取。あわせて、5年度介護事業経営実態調査の実施を会長に一任した。

また、介護給付費分科会は、前分科会長の田中滋氏(埼玉県立大学理事長)が社会保障審議会の委員を退任したことを受け、社会保障審議会の委員のなかから田辺国昭氏(国立社会保障・人口問題研究所所長)を分科会長に互選した。

介護事業経営に関する概況調査と実態調査は、いずれも次期介護保険制度の改正および介護報酬の改定に向けた調査。このうち▽概況調査は、改定前後の2年分▽実態調査は、改定後2年目の1年分─のすべての介護保険サービスを対象とし、調査対象サービスごとに設定した抽出率で調査を実施する。直近の調査では、調査客体数は概況調査(4年度)が1万6830施設・事業所、実態調査(2年度)が3万1773施設・事業所で、有効回答率はそれぞれ48.3%、45.2%だった。

4年度の概況調査の結果は、全介護サービス平均の収支差率が令和3年度に3.0%となり、改定前の2年度と比べ0.9%減少した。その要因について厚生労働省は、多くのサービスで収入が増加した一方、事業費用がそれを上回って増加したため、と説明した。

5年度の実態調査のスケジュールは、5年5月に4年度決算額を調査し、10月頃に介護給付費分科会介護事業経営調査委員会に結果を公表することとした。調査項目は、4年度の概況調査をもとに▽新型コロナウイルス感染症の施設内療養に関する補助金▽物価高騰対策として創設された地方交付金等の支援▽介護職員処遇改善支援補助金─などの項目を追加する。また、建物の状況や面積など毎年変化する可能性の低い事項のプレプリントや法人本部への一括送付などにより、近年、5割を下回っている回収率の向上を図る。

健保連の伊藤悦郎常務理事は、収支差率について、3年度は2年度よりやや低下したが、新型コロナウイルス感染症禍以前に比べ「遜色ない」と評価した。介護給付費は医療費を上回る伸びが見込まれる一方、新型コロナ感染症の影響やウクライナ情勢、物価高などにより経済状況が非常に悪化していると言及。そのうえで、現役世代の報酬水準は回復しておらず負担が限界に達していると危機感を訴え、制度の持続可能性の確保を念頭に置き、次期介護報酬改定に向けたメリハリのある評価と改定率設定の議論を行うよう要請した。

他方、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)や東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、3年度の収支差率が前年度比でマイナスとなったことに対し、3年度の介護報酬改定がプラス改定(0.70%)だったことを踏まえ、経営が厳しいと訴えた。

このほか、介護給付費分科会では介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会におけるこれまでの議論の整理の報告があった。

これに対し伊藤常務理事は、利用者の安全性確保に配慮することが大前提としたうえで、多様化する利用者ニーズの尊重や保険給付の適正化の観点から、福祉用具における貸与・販売の選択制導入などの対応をしっかりと検討するよう要望した。

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