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健保ニュース 2023年3月上旬号

政府がマイナカード・中間まとめ
保険証の廃止へ一体化加速
有効期間1年限度 資格確認書は無償発行

政府の「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会(議長・河野太郎デジタル相)」は2月17日、マイナ保険証の一体化に向けた課題の整理と必要な対応を盛り込んだ「中間とりまとめ」を公表した。

今回の「中間とりまとめ」で具体化に至らなかった事項は、「最終とりまとめ」に反映できるよう検討を進め、マイナンバーカードが全国民に行き渡るよう全力を尽くす方針を示した。

「中間とりまとめ」は、マイナンバーカードと保険証の一体化により、国民にとって、▽過去の健康・医療データにもとづいたより適切な医療を受けることができる(重複投薬・併用禁忌の防止など)▽転職・転居等による保険証の切替えや更新が不要となる▽書類提出によらずに、自己負担限度額等を超える支払が免除される▽窓口負担が6円(令和5年4月から12月までは12円)安くなる─等のメリットがあるとした。

さらに、保険者には、▽資格喪失後の被保険者証の使用や被保険者番号の誤記による過誤請求にかかる事務処理負担が減少する▽保険証、限度額適用認定証等にかかる事務手続きや認定証等の発行が減少する─等のメリットがあると強調。

医療機関・薬局のメリットとして、▽患者の過去の薬剤情報、特定健診情報等を確認できるようになり、より正確な情報にもとづく適切な医療を提供できる▽レセプトの返戻を回避し患者への手間が減るなど未収金の減少にも繋がる─等を掲げた。

そのうえで、これらのメリットをより丁寧に国民・医療関係者へ伝えることにより、マイナンバーカードと保険証の一体化の意義について理解を求めていくことが重要との考えを示した。

さらに、マイナンバーカードによるオンライン資格確認は、今後の医療DXの基盤となる仕組みであり、将来的には診察券や公費負担医療の受給者証もマイナカードと一体化することで国民等のメリットの実感は大きくなると明記。

こうした将来も見据えながら、マイナンバーカードと保険証の一体化に向けて取り組みを加速し、6年秋の保険証廃止を混乱なく迎えられるよう、入念に準備する必要があると提言した。

一体化に当たっての取り組みとして、申請から1週間以内(最短5日)で交付できるマイナンバーカードの特急発行・交付の仕組みを創設。6年秋までに、新生児、紛失等による再交付、海外からの転入者(約150万枚/年)を含め、合計約360万枚/年(約1万枚/日)まで対応できる体制を構築する。

保険証廃止後の資格確認の取り扱いについては、「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を基本とする」としたうえで、「マイナカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者」に対しては、氏名・生年月日、被保険者等記号・番号、保険者情報等が記載された「資格確認書(基本は紙)」により、被保険者資格を確認することとした。

「マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者」としては、▽マイナカードを紛失・更新中▽介護が必要な高齢者やこどもなどマイナカードを未取得▽家族などが本人の代理として薬局に薬剤を受け取りに行く必要がある場合─等を想定。

「資格確認書」は、様式を国が定めることとし、現行の保険証と同様、無償で発行する。本人の申請にもとづき書面または電磁的方法で保険者から速やかに提供。有効期間は、1年を限度として各保険者が設定することとした。

保険者の資格情報入力のタイムラグ等への対応については、資格取得届への被保険者の個人番号等の記載義務を法令上明確化するとともに、保険者は事業主による届出から5日以内にデータ登録を実施。

また、事業主が加入前から被保険者にかかる情報を収集するよう促すなどして、5日以内の届出が徹底されるようにする。

保険証廃止後は、発行済みの保険証を1年間(先に有効期間が到来する場合は有効期間まで)有効とみなす経過措置を設ける。

乳幼児のマイナンバーカードについては、出生届の提出にあわせてカードを申請できるようにし、特急発行の対象とするとともに1歳未満でカードを申請する場合は、顔写真がないカード(有効期間は5歳の誕生日まで)を交付することとした。

なお、保険証廃止後の資格確認の取り扱いと乳幼児のマイナンバーカードについては法改正事項であり、政府は6年秋を視野に入れ、今通常国会に関連法案の提出をめざす。

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