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健保ニュース 2023年2月下旬号

前期報酬調整や健保組合支援等
健保法等改正案 閣議決定し国会提出

政府は10日、前期高齢者給付費への1/3報酬調整の導入や健保組合への追加支援、かかりつけ医機能が発揮される制度整備などを盛り込んだ「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。施行日は一部を除き、令和6年4月1日を予定する。

改正内容のうち、「高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直し」は、前期高齢者医療給付費の財政調整について、被用者保険者間は現行の「加入者数に応じた調整」に加え、1/3の部分に「報酬水準に応じた調整」を導入。前期高齢者1人当たり給付費は複数年(3年)平均を用いる。

また、当面の現役世代の負担上昇を抑制するため、介護保険を参考に、後期高齢者保険料と現役世代支援金の1人当たり伸び率が均衡するよう、高齢者負担率の設定方法を見直す。

合わせて、拠出金負担に対する特別負担調整の拡充(100億円)▽健保組合の交付金交付事業への財政支援(100億円)▽高齢者医療運営円滑化等補助金の拡充(230億円)─の合計430億円の国費による支援を追加する。

健保組合の交付金交付事業への財政支援は、「健康保険法附則第2条」に「国は、政令で定めるところにより、連合会に対し、政令で定める組合に対する交付金の交付に要する費用について、予算の範囲内で、その一部を負担する」と追記し、国費による財政支援を制度化した。

他方、「こども・子育て支援の拡充」は、「健康保険法施行令等の一部改正政令」により5年4月から出産育児一時金を50万円へ8万円引き上げるとともに、6年4月から支給費用の一部(7%)を後期高齢者医療制度も支援する仕組みに改める。

これに伴い、高齢者の医療の確保に関する法律第124条に、出産育児関係事務費拠出金における支払基金の徴収義務と保険者の納付義務を新設。事務費拠出金の額は、支払基金の事務処理費用の見込額を基礎として、各保険者にかかる加入者の見込数に応じ、厚生労働省令により算定するとした。

「医療・介護の連携機能および提供体制等の基盤強化」は、かかりつけ医機能が発揮されるよう、▽医療機能情報提供制度の刷新(6年4月1日施行)▽かかりつけ医機能報告の創設(7年4月1日施行)▽患者に対する説明(7年4月1日施行)─などの制度整備を進める。

このうち、「かかりつけ医機能報告の創設」は、日常的な診療の総合的・継続的実施などの「かかりつけ医機能」について、医療機関から都道府県知事に報告を求める。

都道府県知事は、報告をした医療機関が「かかりつけ医機能」の確保にかかる体制を有することを「確認」し、外来医療に関する地域の関係者との協議の場に報告・公表。合わせて、外来医療に関する地域の関係者との協議の場で、必要な「かかりつけ医」機能を確保する具体的方策を検討・公表する。

このほか、「医療保険制度の基盤強化等」は、6年度からの「医療費適正化計画」に向けて、都道府県ごとに保険者協議会を必置として計画の策定・評価に関与する仕組みを導入。計画の目標設定に際しては、かかりつけ医機能の確保の重要性に留意することとした。

また、経過措置として存続する退職被保険者の医療給付費等を被用者保険者間で調節する仕組みについて、対象者の減少や保険者等の負担を踏まえ6年4月1日から廃止する。

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