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健保ニュース 2023年2月中旬号

全国厚生労働関係部局長会議
伊原保険局長 医療保険制度改革を説明

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は1月18日、令和6年度診療報酬改定に向けた検討の進め方を了承した。介護報酬、障害福祉サービス等報酬との同時改定のほか、地域医療構想や医療DXなどの課題を踏まえ、検討を進めていくこととした。4月から医療DXや入院、外来等について意見交換を行い、10月以降、個別具体的な改定項目の議論を深める。健保連の松本真人理事は、「医療保険財政は極めて厳しい状況」と指摘し、個別課題として掲げた医療DX等について、「評価にメリハリを効かせることが不可欠」と強調した。

全国厚生労働関係部局長会議は、元年度までは都道府県の担当者などを対象に参集形式の会議を実施してきたが、2年度以降は新型コロナウイルス感染症予防の観点から説明動画をホームページ上に掲載している。

伊原和人保険局長は、次期医療保険制度改革の主要事項である、①出産育児一時金の引き上げ②高齢者医療を全ての世代で公平に支え合う仕組み③被用者保険における負担能力に応じた格差是正の強化─を中心に説明した。

①は、出産育児一時金について、妊婦が医療機関を選択できるよう、出産費用の見える化を進めつつ、現行の42万円を5年4月から50万円へ大幅に増額すると言及。出産費用の見える化は、公表項目の詳細を5年夏までに検討し、医療保険部会に報告のうえ、6年4月を目途に実施するスケジュールとした。

他方、少子化を克服し、子育てを社会全体で支援する観点から、後期高齢者医療制度が出産育児一時金にかかる費用の一部(対象額の7%)を支援する仕組みを6年4月から導入し、現役世代の負担を軽減すると述べた。

②は、現役世代の負担上昇を抑制するため、後期高齢者の保険料と現役世代の支援金の伸びが同じになるよう見直し、後期高齢者の保険料について、賦課限度額や所得にかかる保険料率を引き上げる形で負担能力に応じた負担とするとした。

③は、健保組合の保険料率の分布から、「中小企業の従業員が加入する協会けんぽの平均保険料率10%を上回る健保組合が2割を超えており、解散予備軍のような厳しい状況にある」と指摘。

健保組合間における保険料率の格差を是正するため、前期高齢者の給付費に対し、現行の「加入者数に応じた調整」に加え、一部に「報酬水準に応じた調整」を導入。合わせて、現役世代の負担をできる限り抑制するため、企業の賃上げ努力を促進する形で既存の支援を見直すとともに、国費による支援を強化する考えを示した。

このほか、退職者医療制度について、対象者が約20人に減少し財政調整効果がほぼ無くなっている一方、保険者等の事務コストは継続しているため、業務のスリム化、事務コストの削減を図る観点から、6年4月に前倒しで廃止する意向を示した。

また、6年度からの第4期医療費適正化計画に向けた見直しとして、リフィル処方箋やフォーミュラリ策定等により、医療資源の効果的・効率的な活用や医療の効率的な提供に取り組むほか、法律改正により保険者協議会の必置化など実効性向上のための体制を構築するとした。

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