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健保ニュース 2023年新年号

令和5年度予算・大臣折衝合意
健保組合 負担軽減に430億円の支援
拠出金の特別負担調整を倍増

鈴木俊一財務相と加藤勝信厚生労働相は12月21日、令和5年度政府予算編成の重要事項を折衝し、今夏の概算要求時点で5600億円と見込んだ社会保障関係費の実質的な伸びについて、薬価改定など様々な改革努力を積み重ねることにより、4100億円程度に抑えることを合意した。

全世代型社会保障の実現に向けては、令和6年度から特例的に健保組合への支援を430億円追加する措置を決めた。

健保組合への支援措置は、①企業の賃上げ努力に配慮した納付金負担軽減補助(230億円)②健保連が実施する高額医療交付金事業に対する財政支援の制度化(100億円)③特別負担調整への国費充当の拡大(100億円)─にそれぞれ充当。

このうち、①は、前期納付金負担の割合・伸びに着目して、納付金負担が過大となる保険者に対して補助金で支援する現行の「高齢者医療運営円滑化等補助金(既存分120.4億円、新規分600億円)」に、6年度から「230億円」を上乗せしたうえで新たな要件を設ける対応を想定する。

また、③は、拠出金負担が過大となる保険者の負担を全保険者と国費で軽減する現行の「特別負担調整(100億円)」への国費充当を200億円に倍増。②は、事業規模を拡充することにより、健保組合の自主的な支え合いである交付金交付事業の強化を図る。

全世代型社会保障構築会議が取りまとめた「報告書」を踏まえた次期医療保険制度改革では、被用者保険者間における前期高齢者の医療給付費負担について、6年度から全体の1/3の部分に「報酬水準に応じた調整」を導入。

これに伴う健保組合の600億円の負担増に対しては、社会保障審議会医療保険部会の「議論の整理」に、「高齢者負担率の見直し(▲290億円)と合わせて負担減となるよう、国費によるさらなる支援を行う」と明記され、差し引き310億円への対応が焦点となっていた。

大臣折衝合意により、健保組合に430億円の支援が拡充されたことで、健保組合は全体として120億円の負担が軽減されることとなる。

他方、5年度から現行の42万円を50万円に増額する出産育児一時金の引き上げについて、国費による支援措置(76億円)を5年度に限定して設ける。

6年度から導入する出産育児一時金に対する後期高齢者医療制度からの支援と、出産育児一時金の8万円引き上げに1年間のタイムラグが生じることから、この間の現役世代の負担を軽減するための財政支援を措置。厚生労働省は、財政支援措置の制度別内訳について、現在、調整を進めている段階と説明した。

このほか、12月16日の松野博一内閣官房長官、鈴木俊一財務相および加藤勝信厚生労働相の3大臣合意にもとづく5年度薬価改定により、薬剤費▲3100億円(国費▲722億円)が削減されるとした。

一方、5年12月末までの間、▽オンライン資格確認の導入・普及の徹底の観点から、初診時・調剤時における追加的な加算、再診時における加算を設定するとともに、加算にかかるオンライン請求の要件を緩和する▽一般名処方、後発品の使用体制・薬局における地域支援体制にかかる加算について上乗せ措置を講ずる─診療報酬上の対応も決定。250億円の医療費(国費63億円)を見込む。

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