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健保ニュース 2022年11月上旬号

流行初期の減収補償など
感染症法改正案が衆院審議入り
代表質問 保険者負担に疑義

政府が10月7日に閣議決定した「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案」(感染症法改正案)が同月25日、衆院本会議で加藤勝信厚生労働相による趣旨説明に続いて、各党代表者が質問し審議入りした。

同改正法案は、一般医療を制限して流行初期の新たな感染症医療に対応する医療機関の減収を補償する「流行初期医療確保措置」の費用を公費と保険者で負担する仕組みを設ける。また、都道府県と医療機関の間で医療確保に関する協定を締結する仕組みを法定化する。

なお、衆院本会議では、立憲民主党および日本維新の会が共同提出した「国民本位の新たな感染症対策を樹立するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び予防接種法の一部を改正する法律案」、「新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案」の2法案も感染症法改正案とあわせて、趣旨説明と代表者質問が行われた。代表質問では3名の代表者が減収補償に対する保険者負担に疑義を呈した。

同改正法案は、都道府県知事等が医療機関等との間で病床、発熱外来など医療の確保に関する協定を締結する仕組みを法定化する。なかでも公立・公的医療機関等、地域医療支援病院および特定機能病院には、感染症発生時に担うべき医療の提供を義務づける。

感染症の初動対応等を行う協定締結医療機関に対しては、感染症流行前と同水準の医療の確保を可能とする措置(「流行初期医療確保措置」)を導入。一般医療を制限して感染症医療に対応したことによる減収分を補償する。減収補償にかかる費用は、公費とともに保険者も負担(「流行初期医療確保拠出金等」)する。

協定の履行状況の公表や、協定に沿った対応をしない医療機関等への指示・公表等を行うことができることとされている。

この日の本会議を経て、感染症法改正案と野党提出の対案はともに衆院厚生労働委員会に付託された。

25日の本会議では、趣旨説明の聴取に続き、自民党の田畑裕明氏ら7氏が代表質問に立った。このうち、日本維新の会の遠藤良太氏、国民民主党の田中健氏、共産党の宮本徹氏は、「流行初期医療確保措置」の費用を保険者が負担することに対し、公費で負担すべきとの観点から、政府の見解を質した。

岸田文雄首相は、流行から診療報酬上で特例を設けるまでに一定の時間を要すると言及。保険者が負担する理由について▽この間に提供される医療には本来診療報酬で支えられる部分が含まれる▽通常医療の確保に直結する▽社会経済活動の維持につながる─ことに起因して利益を得ると説明した。

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