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健保ニュース 2022年9月中旬号

政府が次の感染症危機対応へ具体策
流行初期医療確保 費用は公費と保険で負担
感染症法など改正案を国会提出

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・岸田文雄首相)は2日、「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取り組みを踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策」を決定した。

同対策本部が今年の6月17日に決定した「対応の方向性」にもとづく司令塔機能強化および保健・医療提供体制にかかる具体的対応を明記。今後、さらに内容等の詳細を検討し、法律案を順次国会に提出する方針を示した。

「対応の具体策」は、①次の感染症危機に備えた感染症法等の改正②新型インフルエンザ等対策特別措置法の効果的な実施③次の感染症危機に対応する政府の司令塔機能の強化④感染症対応能力を強化するための厚生労働省の組織の見直し─を大きな柱とする。

このうち、①は都道府県等と医療機関等は国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがある新たな感染症の発生およびまん延時における具体的な役割・対応(病床確保や発熱外来等)について、あらかじめ医療機関等の機能を踏まえ協定を締結する仕組みを法定化する。

さらに、公立・公的医療機関や特定機能病院・地域医療支援病院には、その機能を踏まえ感染症発生・まん延時に担うべき医療の提供を義務付け、その他の病院との協定締結を含めた都道府県医療審議会における調整の枠組みを創設。

初動対応等を含む「特別な協定」を締結した医療機関に対して、都道府県は感染症流行初期において感染症流行前と同水準の医療の確保を可能とする措置(流行初期医療確保措置)を講ずることとした。

合わせて、都道府県等は協定に沿った対応をしない医療機関等に対する勧告・指示・公表を行うこととし、特定機能病院・地域医療支援病院については、指示に従わない場合に承認を取り消すことも可能とする。

「流行初期医療確保措置」は、当該感染症に対する診療報酬の上乗せや補助金による支援が充実するまでの暫定的な支援として位置づける。その措置額は感染症発生・まん延時の初期対応を行った月と感染症発生前の同月の診療報酬を勘案した額とし、医療機関の減収を補償する。

さらに、「流行初期医療確保措置」のための費用については、「公費とともに、保険としても負担することとする」と明記した。

これらの対応について、感染症法、地域保健法、健康保険法、医療法等、速やかに必要な法律案の提出を図る方針を示しており、今秋の臨時国会への提出も視野に入れる。

このほか、③は、政府対策本部の各府省庁に対する強力な権限および感染症対応の中核を担う厚生労働省との一体的対応を背景に、行政各部の感染症危機への対応を総括し、司令塔機能を担う組織として「内閣感染症危機管理統括庁」を設置。

そのために必要な法律案を次期通常国会に提出し、令和5年度中の設置をめざすとした。
 また、④は、厚労省における平時からの感染症対応能力を強化するため、健康局に「感染症対策部」を設置。内閣感染症危機管理統括庁との連携を図り、平時からの感染症危機への対応準備にかかる企画立案を担うほか、感染症法、予防接種法、検疫法等にかかる業務を実施。

次期通常国会に必要な法律案を提出し、令和6年度の施行をめざすとした。

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