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健保ニュース 2022年9月上旬号

厚労省・5年度予算概算要求
一般会計総額 実質過去最大の33.2兆円
出産一時金、薬価改定は年末検討

厚生労働省は8月25日、令和5年度予算概算要求を公表した。一般会計総額は前年度比6340億円増の33兆2644億円。5年度から、内閣官房こども家庭庁関連予算(8857億円)を除いているため、実質的には前年度の33兆9450億円を上回り、過去最大規模となる。

大部分が金額を明示しない「事項要求」の新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、出産育児一時金の引き上げや全世代型社会保障の構築、毎年薬価改定などへの対応は、年末の予算編成過程で検討するため、最終的な予算額は大きく変動する見通しだ。

要求段階の一般会計総額のうち、医療、年金、介護などの社会保障費は31兆2694億円、裁量的経費にかかる削減額の3倍を要求できる「重要政策推進枠」は1694億円。社会保障費は、高齢化などに伴う自然増として前年度から5376億円を上積みしている。

5376億円の内訳は、▽医療2500億円▽介護1000億円▽年金900億円─で、残りは雇用・福祉等が該当する。

政府全体の社会保障費は、他府省の経費が約300億円増加するため、自然増は約5600億円となる。

5年度は新型コロナに伴う受診控えなどの影響で、4年度当初見込みの6600億円から1000億円減少した。

厚労省所管分の社会保障負担の主な内訳は、▽医療12兆495億円▽年金12兆7700億円▽介護3兆4100億円─など。

医療費国庫負担12兆495億円(前年度比2552億円増)の制度別内訳は、協会けんぽが1兆2673億円(同254億円増)、国保が3兆1319億円(同841億円減)、後期高齢者医療が5兆7780億円(同3137億円増)の3制度合計10兆1772億円(同2550億円増)のほか、公費負担医療1兆8723億円(同2億円増)を見込んだ。

団塊世代の後期高齢者への移行に伴い、国保の被保険者数は前年度から減少。他方、前期高齢者交付金が前年度に比べ増加したことも要因に、国保の医療費国庫負担は減少する。

概算要求における主要政策は、①コロナ禍からの経済社会活動の回復を支える保健・医療・介護の構築②成長と分配の好循環に向けた「人への投資」③安心できる暮らしと包摂社会の実現─の3分野が柱。

コロナ禍からの経済社会活動の回復を見据え、国民の命・雇用・暮らしを守る万全の対応を行うほか、全世代型社会保障の構築を推進し、未来を切り拓く「新しい資本主義」を実現することで、国民1人ひとりが豊かさを実感できる社会をめざす。

このうち、①は「重要政策推進枠」も活用し、オンライン資格確認の用途拡大等のデータヘルス改革や電子カルテ情報の標準化の推進、電子処方箋の安全かつ正確な運用に向けた環境整備の推進など、「医療分野・介護分野におけるDXの推進」にデジタル庁分含め合計96億円を計上した。

また、安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保では、被用者保険への財政支援に前年度に比べ6億円増の831億円を計上。

高齢者医療拠出金の負担が過重な健保組合などへの財政支援のほか、「重要政策推進枠」を活用し、4年10月からの短時間労働者の適用拡大に伴う影響で財政が逼迫するおそれのある健保組合への財政支援(4年度予算5億円)について、影響の満年度化を踏まえ倍増する。

このほか、消費税率の引き上げ(5%→10%)を主要財源とする社会保障の充実は、税収額や重点化・効率化の動向を踏まえ、予算編成過程で検討することとした。

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