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健保ニュース 2022年9月上旬号

厚労省が医療費を「見える化」
自己負担15%、実効給付率85%

厚生労働省は、医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の「見える化」に向けた資料をまとめ、8月19日の医療保険部会に報告した。

「見える化」は、医療保険制度の総合的な対応の検討や、国民が医療保険を安心して利用できる環境の形成を目的とし、①医療費の財源構造②医療保険制度の比較③実効給付率の推移と要因分析④生涯医療費─の分析内容について、同部会に報告するとともに、ホームページ上で公表することとされている。

それによると、①は、令和元年度における医療費(41.5兆円)のうち、患者が医療機関の窓口で支払う自己負担額は14.8%(後期高齢者8.3%、それ以外19.4%)、医療保険で賄う実効給付率は85.2%から構成され、実効給付率の内訳は公費32.7%、保険料52.5%となることを示した。

厚労省は、患者の自己負担割合は、高額療養費制度等により、法定給付率(1~3割)に比べ低くなっていると説明した。

②は、医療保険制度間では、年齢構成による医療費の違いなどによる財政の負担を調整する仕組み(前期調整額)となっていると説明。健保組合と協会けんぽは元年度に1.6兆円の前期調整額を納付し、市町村国保は3.7兆円の前期調整額の交付を受ける。

また、後期高齢者にかかる給付費の一部は他の制度も後期支援金という形で、健保組合2.0兆円、協会けんぽ2.1兆円、市町村国保1.6兆円を負担しているとした。

③は、実効給付率(85.2%)は、高齢者(91.7%)の方が若人(80.6%)より高い傾向にあり、近年のトレンドとしては高齢化の進展等で上昇傾向になっていると指摘。

実効給付率(85.2%)のうち、公費分(32.7%)の増減は、制度改正のほか、高齢化による後期高齢者の増加、被用者化による国保加入者の減少等によって変化するとした。

一般的に、年齢が高いほど平均的な医療費は高くなる一方、保険料の負担額は現役世代の間に比較的高くなると説明した。

④は、その年に生まれた0歳の人が平均で生涯にどのくらいの医療費が必要となるかを表した生涯医療費は約2700万円、このうち医療保険給付で賄われる部分は約2300万円で、医療費の約85%は医療保険制度から賄われるとした。

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