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健保ニュース 2022年8月合併号

第8次医療計画検討会
かかりつけ医機能の検討着手
河本専務 担い手の「見える化」最優先

第8次医療計画等に関する検討会(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部教授)は7月20日、かかりつけ医機能にかかる検討に着手した。

健保連の河本滋史専務理事は、かかりつけ医機能を担う医師、医療機関を「見える化」する制度対応を最優先で検討するよう強調した。

この日の議論では厚生労働省が、かかりつけ医機能にかかる現状の課題について、▽コロナ禍における重要性▽地域包括ケアを構築するうえでの役割▽現役世代にかかりつけ医がいない人が多く、その理由の一部は探す方法が不明▽患者の大病院志向─と整理し、提示。それらを踏まえて▽コロナ禍における課題▽機能強化の必要性─といった基本的な課題を論点とした。

今後は、8月までにヒアリングなどを通じた実態確認と今後の方向性、9月に課題への対応をテーマに議論する。10月から2巡目の議論を行う。今後の議論で法律や医療計画に盛り込むべき内容で収れんした内容は年内に取りまとめるものの、最終的な期限は政府の「改革工程表2021」を踏まえ5年度まで。

この日の会合に厚労省が示した日医総研の「第7回日本の医療に関する調査」(2年7月)によると、かかりつけ医が「いる」との回答が55.2%と全体の半数を占めたが、年齢別では20歳代の21.6%をはじめ現役世代では5割に満たない。かかりつけ医がいない理由をみると、「あまり病気にならないので必要ないから」が20~44歳で74.4%、45~64歳で72.4%と最も多かったほか、「どのような医師がかかりつけ医に適しているのかわからない」、「かかりつけ医を選ぶための情報が不足している」、「かかりつけ医を探す方法がわからない」といったかかりつけ医を選べないとする回答が、高齢者に比べ現役世代でより多く見られた。

2年の受療行動調査によると、外来患者が最初から今日来院した病院を受診した割合は特定機能病院29.7%(平成26年36.7%)、大病院39.1%(同47.7%)となっており、以前より低下しているものの3割以上を占め、外来機能分化が課題となっている。

この課題に対し、4年4月から施行された改正医療法では、医療機関は都道府県に外来医療機能報告を行い、それを踏まえて地域の協議の場で外来機能の明確化・連携に向けて必要な協議を行うこととされている。

協議では、紹介患者への外来を基本とする医療機関(紹介受診重点医療機関)を決定することとされており、かかりつけ医機能を担う医療機関に同医療機関からの患者の紹介および逆紹介患者を受け入れる役割が期待されている。

新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議が今年6月にまとめた報告書では、コロナ禍における外来医療や訪問診療における課題を指摘し、かかりつけの医療機関について平時より感染症危機時の役割分担の明確化をはじめとする仕組みづくりを求めている。

河本専務理事は、論点にあがったかかりつけ医機能の強化を取り上げ、従来からの課題とコロナ禍で露わになった課題をセットで検討する必要性を強調した。従来から外来機能の分化・連携強化が図られているが、患者の大病院志向は依然として続いており、「外来機能分化はまだ道半ばと言わざるを得ない」と言及。有識者会議の報告から、コロナ禍においては、患者がかかりつけと考えていた医療機関で対応してもらえなかった事例を問題視。平時、有事それぞれの課題を並べた。

そのうえで、かかりつけ医機能の課題として、姿が不明確と指摘し、制度上で明確化し、機能を担う医師、医療機関を「見える化」する制度対応を最優先の検討課題に位置づけた。さらに国民がそうした機能を担う医師、医療機関を探せるようインフラ整備が必須だと強調した。

一方、猪口雄二専門構成員(日本医師会副会長)、江澤和彦構成員(同常任理事)は、かかりつけ医の平時における地域での役割を踏まえ、コロナ禍をはじめとする有事の際の役割とは切り離すよう求めた。

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