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健保ニュース 2022年7月下旬号

健保連・第518回理事会
宮永会長 苦境打開へ改革の歩みを前進
保険者機能を発揮し充実・強化

健保連の宮永俊一会長は8日の第518回理事会の冒頭にあいさつし、健保組合が支出のおよそ半分を高齢者医療の拠出金として持ち出している苦境を打開するため、改革の歩みを止めるわけにはいかないと強調した。他方、診療報酬と介護報酬の同時改定など、医療・介護保険制度の大きな節目となる令和6年度に向けて、本年は政策の種を蒔くときとの認識を示し、健保組合が保険者機能を発揮してより一層、充実・強化していくことが求められるとした。次世代に誇れる制度改革に取り組み、健保組合の思いを形にしていただきたいと政府に願う一方、改革の必要性が国民に的確に伝わるよう、あらゆる知恵を出し合い、より活発で具体的なアピール活動を行うべきと言及。健保組合が一丸となって結束し、持てる力を発揮していくため、私自身も先頭に立ち、改革実現に向け邁進していく決意を表明した。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)

本日の理事会は去る4月の役員改選後、初めての理事会となる。これからの2年間、改めてよろしくお願い申し上げる。

さて、今年2月のロシアによるウクライナ侵攻は4か月を超え、長期戦の様相を呈している。1日も早く平和が回復することを願ってやまない。

経済への影響も大変大きく、エネルギーや食料価格の高騰、サプライチェーンの寸断などによって、世界的なインフレが進み、グローバル化した世界経済に重大な影響を与えている。

わが国の経済も、歴史的な円安となり、輸入価格の上昇による本格的な影響はさらにこれからも現れてくることと予想される。

企業経営の不確実性は格段に高まっており、投資や消費マインドの冷え込みが、景気の減速につながっていかねばよいがと懸念している次第だ。

健保組合財政をみると、今年度の高齢者医療の拠出金は、コロナ禍の受診控えにより一時的に減少したとはいえ、依然、高止まりしており、来年度以降、団塊の世代が後期高齢者に移行する2025年にかけては、さらなる増加が見込まれる。

今年の10月から、後期高齢者の2割負担が施行されるが、その対象は一定以上の所得者に限られており、保険者の拠出金の負担感がやわらぐ規模にはいまだ及ばない状況にある。

減っていく現役世代で、増えていく高齢者の医療費を支えていく、この構図は依然として残されたままであり、このままでは拠出金の急増による苦しい財政から、解散の選択を迫られる健保組合がさらに増えていくのではないか、多くの仲間が将来展望を描けなくなるのではないか、と大変危惧している。

6月に閣議決定された「骨太方針2022」では、岸田文雄首相の掲げる「新しい資本主義」を中心に、「デジタル田園都市国家構想」、「子ども家庭庁の創設」など、令和時代の社会課題の解決に向けた新たなコンセプトが打ち出された。

また、社会保障制度については、全世代型社会保障制度の構築に向けて、「負担能力に応じた負担のあり方の検討」、「かかりつけ医の推進」、「リフィル処方箋の普及・定着」など、私たちがこれまで主張してきた項目も盛り込まれた。

会員組合、都道府県連合会とも協力した、積極的な取り組みの成果であり、理事各位の皆さんの尽力に心より感謝申し上げる。

一方で、私たちの厳しい現状を変えるには、まだまだ不十分な内容であることも事実であり、支出のおよそ半分を拠出金として持ち出している現状は何としても変えなければならない状況だ。

この苦境を打開するためにも、改革の歩みを止めるわけにはいかない。また、コロナ禍で明らかとなった医療提供体制の再構築にも取り組む必要がある。

先に掲げた「かかりつけ医」、「リフィル処方」、さらに「ICT化への対応」といった昨年の私たちの提言に関する改革、施策の推進も欠かせない。

おりしも、2年後の令和6年度は、6年に1度の診療報酬と介護報酬の同時改定の年であり、さらに、第8次医療計画、第4期医療費適正化計画など、様々な見直しも始まる。

こうした医療・介護保険制度の大きな節目に向けて、まさに本年は政策の種を蒔くときであり、来年の国会審議を通じて花を咲かせ、再来年には豊かな果実を実らせなければならない。

そして、何よりも、私たち自身が保険者機能を発揮し、より一層、充実・強化していくことも求められている。

さて、今週末は3年に1度の参議院議員選挙の投開票だ。次の衆議院選挙まで、最長では3年。政局にとらわれず、政策に集中できる期間となる。

政府には、この期間を「逃さず」、「慌てず」、しかし「着実に」、次世代に誇れる制度改革に取り組み、私たちの想いを形にしていただきたいと強く願っている。

そして、私たちも、改革の必要性が国民の皆さん1人ひとりに的確に伝わるよう、あらゆる知恵を出し合い、より活発で具体的なアピール活動を行う必要がある。

現在の社会は「Unity」、結束がキーワードと言われている。私たち健保組合も一丸となって結束し、持てる力を発揮していかなければならない。私自身も先頭に立ち、改革実現に向けて邁進していきたい。

本日は、3年度の事業報告、決算関係が審議の中心となるが、これらにとらわれず、執行機関としての活発な意見交換をぜひお願い申し上げる。

はなはだ簡単ではあるが、これにて開会のあいさつとする。

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