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健保ニュース 2022年7月中旬号

厚労省・令和2年患者調査
入院患者数 コロナで前回比7.7%減
在宅患者数も減少に反転

厚生労働省は6月30日、全国の医療施設を利用する患者の状況等を調べた「令和2年患者調査」をまとめ、公表した。

全国の医療施設を受診した1日当たりの推計患者数は、外来が713万7500人で前回調査(平成29年10月)に比べ、5万3500人、0.7%減少。平成23年からほぼ横ばいではあるものの減少傾向が続いている。

一方、入院は121万1300人で同10万1300人、7.7%と大きく減少。新型コロナウイルス感染症による受診控えなどの影響が顕著となった。

調査は、病院や診療所を利用する患者の疾病状況などの実態を把握することを目的に3年ごとに実施。無作為に選んだ全国の1万3429施設(病院6284施設、一般診療所5868施設、歯科診療所1277施設)を対象に、特定の1日の患者数や疾病ごとの患者数などを調べた。

外来患者数713万7500人を施設の種類別にみると、病院は147万2500人(全体の20.6%)、一般診療所は433万2800人(同60.7%)、歯科診療所は133万2100人(同18.7%)となっている。性別では、男性305万人(同42.7%)、女性408万7500人(同57.3%)だった。

入院患者数121万1300人を施設の種類別にみると、病院が117万7700人(入院患者の97.2%)、一般診療所が3万3600人(同2.8%)。性別では、男性55万8600人(同46.1%)、女性65万2800人(同53.9%)で、外来、入院ともに女性の割合が高い。

年齢階級別の外来患者数は平成23年以降、65歳以上がやや増加傾向だったが、令和2年は前回比2万6000人減の361万8800人(外来患者全体の50.7%)。0~34歳は増加した。

一方、入院患者数は、いずれの年齢も前回調査に比べ減少し、65歳以上は同5万6000人減の90万4900人となった(入院患者全体の74.7%)。

外来・入院患者を傷病分類別にみると、外来患者は「消化器系の疾患」が127万800人(外来患者全体の17.8%)と最も多く、次いで、「健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用」の100万1300人(同14.0%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」の90万6000人(同12.7%)などの順。

入院患者は、「精神及び行動の障害」の23万6600人(入院患者全体の19.5%)、「循環器系の疾患」の19万8200人(同16 .4%)、「損傷、中毒及びその他の外因の影響」の13万4500人(同11.1%)と続く。

在宅医療は往診増加も
訪問診療が大幅減に

在宅医療を受けた患者数は17万3600人と前回調査比で6500人、3.6%減となり、過去最高を更新した前回をやや下回った。在宅医療の推進に向けた診療報酬改定による後押しなどを要因に平成20年から着実に増加してきたが、新型コロナウイルス感染症の影響で令和2年は減少に転じた。

患者の求めに応じて診療する「往診」は、前回比8400人、19.0%増の5万2700人。一方、医師が定期的に行う「訪問診療」の患者数は、同1万600人、9.1%減の10万5700人、「医師・歯科医師以外の訪問」は同4400人、22.4%減の1万5200人となった。訪問診療の在宅医療全体に占める割合は、前回の64.6%から60.9%に低下した。

検査・短期入院の減少で
平均在院日数は3日増

退院患者(令和2年9月に退院した推計患者)の平均在院日数は、32.3日で前回調査に比べ3.0日増長。平成2年調査の44.9日をピークに減少傾向が続いていたが、増加に転じた。

平均在院日数の増加について厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の影響で検査入院や短期入院が減少したことが要因と説明した。

施設別では、病院33.3日(前回比2.7日増)、一般診療所19.0日(同6.1日増)。
 傷病分類別では、「精神及び行動の障害」が294.2日(同17.1日増)で最も長く、「神経系の疾患」の83.5日(同2.3日増)、「循環器系の疾患」の41.5日(同3.4日増)などと続いた。

なお今回調査より、総患者数推計、退院患者の平均在院日数及び在院期間について算出方法が見直されている。

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