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健保ニュース 2022年7月中旬号

2年度国保財政状況
2年ぶり 実質収支黒字、2054億円
コロナ、被保険者数減が要因

厚生労働省は6月23日、令和2年度国民健康保険の財政状況を公表した。決算等補てんを目的とする一般会計繰入金などを除いた実質収支は、2054億円で2年ぶりの黒字となり、前年度に比べ2993億円改善した。新型コロナウイルス感染症による受診控えや被保険者数の減少などにより保険給付費が前年度比3.9%、3381億円減少。支出の減が収入の減を上回った。

国保の被保険者数は、平成20年度に後期高齢者の別制度への移行により大幅に減少して以降、減少傾向が続いており、2年度末は後期高齢者広域連合への移行をはじめとした影響により同41万人減の2619万人となっている。

財政状況は、市町村と都道府県から報告を受けた国保特別会計の決算額を合算した。
 医療分と介護分を合わせた単年度の収入額は、合計23兆6585億円(前年度比1.6%減)だった。

このうち保険料・税収入は、前年度比2.1%減の2兆5417億円となった。厚労省によると、被保険者数の減少と新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者に対する保険料減免措置が押し下げた。

1人当たり保険料調定額は、9万6625円(同0.2%減)。現年度分の保険料収納率は、同0.77ポイント上昇し93.69%だった。介護分を除く医療給付分に相当する保険料・税収入は、2兆3384億円となっている。

科目ごとの収入で国庫支出金を上回り最も高額となっている前期高齢者交付金は、同3.6%増の3兆6250億円を計上した。経過措置として存続している退職者医療制度における療養給付費等交付金は、退職被保険者等の減少により同89.6%減の6億円となった。国庫支出金は同1.9%増の3兆5231億円、都道府県支出金は同3.4%減の1兆815億円。

一方、単年度支出額は合計23兆2297億円(同3.5%減)を計上。このうち、保険給付費は8兆3971億円と同3.9%(3381億円)減で、厚労省は主な要因に被保険者数の減少と新型コロナウイルス感染拡大に伴う受診控えを挙げた。1人当たり保険給付費は31万5564円で同1.5%減少した。

後期高齢者支援金は同1.9%減の1兆5589億円、介護納付金は同1.4%増の5689億円となった。

収支総額から基金繰入金や繰越金、基金積立金や前年度繰上充用金などを除いた単年度収支差引額は、前年度の赤字が同1509.2%減と大幅に改善し、4289億円の黒字を計上。

ここから国庫支出金を精算し、決算補てんなどのための法定外一般会計繰入金を除いた実質収支は、前年度の939億円の赤字から2993億円改善し、2054億円の黒字となった。

保険者別の収支状況は、全ての都道府県で黒字を計上した。平成30年に都道府県単位化して以来、初めて。市町村は全体の64%を占める1095保険者で黒字となった。

2年度市町村国保の収入のうち、法定外の一般会計繰入金は1379億円で同21.3%、373億円減少した。内訳は、決算補てん等目的分が同333億円減の767億円、それ以外の目的分は612億円となっている。

計画的に削減・解消すべき対象とされる決算補てん等目的分の内容は、▽保険料の負担緩和724億円(同276億円減)▽保険料の収納不足12億円(同20億円減)▽累積赤字補てん9億円(同34億円減)─などとなっている。

こども医療費などへの独自助成や災害などによる保険料減免など削減・解消の対象といえない決算補てん等目的以外では、地方単独事業の医療給付費波及増に222億円、保健事業に167億円、保険料減免に86億円などを充てた。

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