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健保ニュース

健保ニュース 2022年6月中旬号

行政事業レビュー・公開プロセス
特定健診・保健指導 事業内容を一部改善
医療費適正化の検証など課題

厚生労働省は2日、事業の実態を把握・点検した結果を今後の事業執行や次年度の予算概算要求等に反映する「行政事業レビュー(公開プロセス)」を実施した。

公開プロセスは、厚労省の一部の事業について、公開の場で外部有識者が必要性、有効性、効率性の観点から事業見直しの方向性や内容を提示する取り組み。

4年度は、①特定健康診査・保健指導に必要な経費②女性の活躍推進および両立支援に関する総合的情報提供事業③フリーター支援事業④地域包括ケア「見える化」推進事業⑤医療・介護サービスの提供体制のための基金─の5事業を対象に実施した。

このうち、①は、厚労省から、保険者が実施する特定健診・保健指導に要する費用の一部を補助する国庫補助事業の4年度予算額や、2年度の特定健診・保健指導の受診・実施率などについて説明が行われた。

特定健診・保健指導国庫負担金(補助金)の4年度予算額は、▽国民健康保険特定健診・保健指導負担金158.8億円▽国民健康保険組合特定健診・保健指導補助金5.7億円▽健康保険組合特定健診・保健指導補助金27.2億円▽全国健康保険協会特定健診・保健指導補助金19.8億円─の合計211.5億円。

他方、5年度までの全国目標(特定健診70%、特定保健指導45%)に対し、2年度の特定健診受診率は前年度比2.2ポイント減の53.4%、特定保健指導実施率は同0.5ポイント減の22.7%だった。

そのうえで、厚労省は、▽実施による健康増進や医療費適正化といった事業効果を検証▽実施率向上に向け効果的な方策を検討▽6年度の第4期特定健診等実施計画の策定に向け見直しを検討▽事業規模が適切かどうか検討─を論点として提起した。

議論の結果、6名の外部有識者のうち、4名が「事業内容の一部改善」、2名が「事業内容の抜本的改善」と評価。特定健診・保健指導に必要な経費は、事業内容の一部改善が妥当と判断された。

課題や改善点については、「医療費適正化と健康増進の双方の観点から、保険者や地域別・産業別ごとにきめ細かく事業効果を検証すべき」、「後期高齢者支援金の加算・減算制度が実施率の向上に寄与しているか効果検証を行ったうえで当該制度の見直しを行うべき」などと取りまとめた。

松原謙二委員(日本医師会副会長)は、システム導入義務化について、コロナ対応や対応機器の供給不足を理由に「拙速」と主張し、反対した。

医療介護総合確保基金
事業全体を抜本的改善

また、⑤は、厚生労働省から、▽地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設または設備の整備▽同病床の機能または病床数の変更▽医療・介護従事者の確保▽勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備─に関する事業を対象とする「地域医療介護総合確保基金」の予算額や予算執行率などの説明が行われた。

「地域医療介護総合確保基金」は、平成26年度に財政支援制度として創設され、各都道府県に設置。各都道府県が作成した都道府県計画にもとづき事業を実施している。令和4年度予算額は医療分1029億円、介護分824億円の合計1853億円。

都道府県における基金全体の執行率(平成26~令和2年度累計)は70.9%で、対象事業区分別では、▽地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設または設備の整備(43.9%)▽医療従事者の確保に関する事業(95.3%)▽勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業(37.8%)─となる。

また、地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設または設備の整備に関する事業の都道府県別累積執行状況(平成26~令和2年度交付分)をみると、執行率は最高の熊本(83.4%)と最低の愛知(12%)で7倍近い差が生じている。

こういった状況を踏まえ、厚労省は、論点として、ニーズの高い取り組みに重点的な支援を行うことが今後の地域医療構想の実現に必要不可欠と提起した。

議論の結果、6名の外部有識者のうち、3名が「事業全体の抜本的改善」、3名が「事業内容の一部改善」と評価。医療・介護サービスの提供体制のための基金は、事業全体の抜本的改善が妥当と判断された。

課題や改善点については、「地域医療構想の実現を図ることが本事業の目的であり、地域医療構想の進捗に応じて交付金の交付を検討すべき」などと取りまとめた。

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