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健保ニュース 2022年5月合併号

自民・議連が出産育児一時金で提言
基礎的費用 「40万円台半ば」へ増額
岸田首相へ5月中旬に申し入れ

自民党の出産費用等の負担軽減を進める議員連盟(小渕優子会長)は4月25日、「出産育児一時金」の支給水準について、現行の「40.8万円」から最低でも「40万円台半ば」への増額を求める「提言」を取りまとめた。岸田文雄首相へ5月16日に要望の申し入れを行う。

「提言」は、個室料や特別食等を除く、基礎的な出産費用(入院料等)は全国平均で約46万円(うち公的病院は約44万円)に対し、加入する医療保険者から本人に支給している出産育児一時金は40.8万円にとどまっていると指摘した。

現在、出産費用の上昇や地域差の要因、最低必要な費用の内訳等の分析を行っている厚生労働省研究班の研究結果を踏まえ、「出産育児一時金」を「40.8万円」から必要な水準まで増額すべきと主張。最低でも、基礎的な費用の上昇に見合う水準の「40万円台半ば」まで引き上げるよう強く訴えた。

合わせて、出産費用の地域差が大きいことから、「基礎的な費用(入院料、薬剤費等)」と「それ以外の選択的費用(個室料、アメニティ等)」を「見える化」し、子育て世代が経済的な負担能力等に応じてサービスを選択できるよう、医療機関でサービスを分かりやすく明示するなど、妊婦への説明と同意を基本とすることとした。

「見える化」は、「出産育児一時金」の増額に連動し、医療機関も追従して出産費用を値上げする課題の解決を視野に入れ、厚労省によるガイドラインの発出や、保険者が産科医療機関に要請するなどの対応も想定した。

他方、日本の子育て関連予算は未だ低水準と指摘し、OECD諸国水準まで引き上げをめざすとともに、さらなる経済的負担の軽減に向けて、エビデンスにもとづいた効果的な現物給付、現金給付等の充実を推進するよう要望。

また、妊娠期から出産までの切れ目ない支援を行うため、妊娠時の健診等にかかる費用の負担軽減のほか、12週以降の人工中絶の状況を把握し、必要な対策を講じる対応も求めた。

佐野副会長が自民・出産議連で見解
出産費用の透明化、適正化を

健保連の佐野雅宏副会長は4月25日に開催された第5回出産費用等の負担軽減を進める議員連盟の関係者ヒアリングで、「出産育児一時金」に対する健保連の考え方を明示した。

少子高齢化が進行するなか、持続可能な社会保障を実現していくため、政府の進める少子化対策に賛成との認識を示す一方、現役世代が支払う保険料だけを原資とする仕組みではなく、全世代で支えていく対策が必要と強調した。

そのうえで、出産費用の透明化、適正化に向けては、▽出産費用の増加要因、地域差等、費用の実態が正確に把握されていない▽これまで全国の平均的な出産費用の実績を中心に引き上げが行われてきた▽自由診療による価格設定であり、出産費用は年々増加─と問題提起。

出産費用の実態把握、増加や地域差の要因分析を行い、費用の適正水準を検証するなど、エビデンスを踏まえた検討が必要と訴えた。

その他制度上の課題としては、▽本来の支給額と、産科医療補償制度の掛金分を明確に区分▽12週以降の人工中絶に関する実態の把握▽出産育児一時金の直接支払制度における電子申請の義務化─を掲げた。

他方、健保組合・健保連の重点要望である「健保組合の安定化に向けた当面の取り組み」として、アパレル関係や化粧品関係、保険関係の業界など、少子化対策により影響が大きい健保組合への財政支援(女性の加入者が多い業種等)を求めた。

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