HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2022年4月下旬号

健保ニュース

健保ニュース 2022年4月下旬号

幸野理事が自民・合同会議で意見
かかりつけ医機能を明確化
リフィル処方 普及へ薬剤師の資質など鍵

健保連の幸野庄司理事は7日、自由民主党の財政健全化推進本部・次世代のための財政戦略検討小委員会合同会議の有識者ヒアリングで、「新型コロナ感染症の教訓を生かした外来医療」をテーマに意見発表した。安心で効率的・効果的な外来医療を実現するために、一般的な症状の初期医療をかかりつけ医に集約する一方、リフィル処方を通じて慢性疾患の継続管理に薬剤師を積極的に活用するべきと訴えた。

会合の冒頭、額賀福志郎本部長は、「先進技術があり、世界に冠たる国民皆保険制度の日本がコロナで医療崩壊と言われたのはなぜか。我々は次世代にしっかり責任を持たないとならない」と述べ、財政の持続可能性確保と有事にも強い医療の両立をめざす考えを示した。

幸野理事は、健保連のレセプト分析を紹介しながら、外来医療の課題を説明した。
 コロナ第1波による患者数の変化を健保連が調べた結果、手洗いやマスク着用によって呼吸器系疾患等が抑制され、結果的に医療費が節減されたことや、緊急事態宣言期間中に一時的な患者数の減少がみられた疾患がある一方、生活習慣病等は患者数の変動が小さかった。

こうした疾患の特性に応じ、日頃からの感染予防や有事における通院判断から慢性疾患の継続管理まで、かかりつけ医への期待は大きい。

幸野理事は、発熱外来を具体例に挙げて「初動対応に大きな混乱があり、かかりつけ医を持ち、医療へのアクセスを確保しておく大切さがわかった」と指摘し、「かかりつけ医のイメージが個人によって異なるため、かかりつけ医の機能をまず法令等で明確化するべき」と述べた。

慢性疾患の薬物治療を効率的に継続する観点からは、薬局の薬剤師を活用することも課題になる。

幸野理事は、「念願だったリフィル処方が令和4年度診療報酬改定で導入された。患者の医療への関わり方を変える大きな一歩になり、医療費の適正化にもつながる」と期待感を示した。

健保連の推計によると、同じ医薬品を同じ用量で180日間以上使い続ける患者について、受診間隔が90日ごとになった場合、年間362億円程度の医療費適正化効果が見込まれる。

リフィル処方の見通しについては、「安全かつ適正に普及させるには、薬局のあり方、薬剤師の資質、医師と薬剤師の連携が大きな鍵になる」と述べた。

約半世紀にわたる医薬分業によって、外来で使用される医薬品の7割以上が院外処方になったが、「残念ながら薬局の役割は調剤に偏重し、患者の相談に応じる機能が失われた」とし、「こうした薬局に医師はリフィルを任せる判断をするだろうか」と指摘した。

そのうえで、健全な医薬分業に向けて「調剤に偏重することなく、患者の病状と向き合い、場合によってはリフィル期間中でも受診勧奨する等、患者との距離を近づけることが必要になる」と述べた。

出席した議員からは、幅広い疾患に対応できる医師の育成や、リフィル処方の普及に向けて薬剤師の資質向上を図るべきとの意見が出た。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年