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健保ニュース 2022年4月中旬号

柔整療養費検討専門委員会
明細書発行加算の創設を提案
幸野理事 全施術所での発行を求める

厚生労働省は、3月24日に開催された社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部長)に、令和4年度の柔道整復療養費の改定にあたり、明細書の義務化に向け新たに明細書発行加算を創設する一方、往療料の距離加算を減額し、明細書発行加算等に振り替える案を示した。

この日、厚労省から改定の基本的な考え方として、①明細書発行加算の創設、②往療料の距離加算の減額、③整復料(骨折、脱臼)、固定料(不全骨折)、後療料(骨折、不全骨折、脱臼)の引き上げ、④その他の見直し─の4本が示された。

このうち①については、施術費用に係る明細書発行の義務化と推進のため、明細書発行加算の創設を提案。明細書を無償で患者に交付した場合に、月1回のみ算定可能とし、患者の求めに応じ明細書を1か月単位でまとめて発行できる。また明細書発行機能のあるレセコンを使用している施術所については、無償発行しなければならないものの、発行機能がないレセコンを使用している施術所は、これまでと同様に、患者から発行を求められた場合のみ、有償での発行を認めている。

②については、前回の2年改定で距離加算を往療料に振り替えて包括化を行ったが、今回の改定では距離加算を減額し、明細書発行加算等に振り替える方針を示した。

①に関し健保連の幸野庄司理事は、全施術所に対し厚労省から示された明細書の標準様式での発行を求めるとともに、明細書発行機能のないレセコンを使用している施術所に対する発行機能のあるレセコンの導入促進と、新規の施術所開設者に対しては認可要件に、標準様式に沿った明細書の発行を加えるよう求めた。

また明細書のタイミングについては、厚労省から1か月単位でまとめて交付することも可能との方針が示されたことに対し、幸野理事は明細書発行加算が月1回の算定であっても、明細書は施術ごとに患者がその内容を知るためのもので、毎回発行を原則とするよう求めた。

さらに②については、前回の会合で償還払いに変更できる対象患者から外れた「長期・頻回の施術患者」に関連し、今回の改定で、部位数の多い場合に逓減される仕組みを強化するような対応を求めた。

柔整療養費のオンライン請求
全施術所での導入が大前提

この日の柔道整復療養費検討専門委員会では、オンライン請求を活用した柔整療養費の支払いについても、議論が行われた。厚労省からは、令和8年4月を目途にオンライン請求の導入を目指す工程表が示されるとともに、導入に向けた課題を検討するためのワーキンググループの設置が提案された。

幸野理事は、厚労省から示されたオンライン請求導入の工程表に対し、まだ工程表をもとに議論する段階ではないと指摘。議論の大前提として、全ての施術所にオンライン請求が導入されていることをあげ、紙やディスクでの請求を残したままでの開始はあり得ず、導入されていなければ開始は遅らせるべきとの考えを示した。

そのうえで幸野理事は、訪問看護レセプトにオンライン請求が導入される際、実態把握や意向調査、費用対効果等の検討が行われた経緯をあげ、柔整療養費のオンライン請求の導入にあたっても、そうした観点について十分に吟味したうえで、工程の検討に入っていくべきと述べ、議論が拙速に進まないようクギを刺した。

また柔整療養費のオンライン請求における審査については、審査支払機関のシステムによる事務点検で、不適切な請求と疑われたものは柔道整復療養費審査委員会(柔整審査会)で審査し、必要な場合に患者照会や面接確認委員会による面接確認を行い、審査決定する方針が厚労省から示されている。前回の会合に引き続き、幸野理事は、「療養費は保険者がやむを得ないと認めた場合において支給決定をするもので、意思決定は全て保険者にあり、柔整審査会において審査や支給を最終決定することはできない。オンライン請求の仕組みを構築する場合においても、この原則だけは崩してはいけない」と述べ、重ねて健康保険法第87条の遵守を前提に検討するよう求めた。

あはき療養費改定
包括料金導入 改めて反対姿勢示す

厚生労働省は3月24日、社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部長)を開催し、前回に引き続き令和4年度のあはき療養費の改定について議論した。前回の会合で、マッサージ及び変形徒手矯正術の施術料について、「施術部位数に応じた報酬」から「包括料金」に移行する方針が示されたが、この日の会合でも、包括料金に移行することによって、療養費の適正化と施術部位数によって患者負担が変わらないメリットがあると説明した。

前回の会合で、健保連の幸野庄司理事が求めた施術部位数と傷病名別とを解析した資料がこの日提出されたが、幸野理事は、この資料から疾病と施術部位数の関連性を判断し、包括料金を導入するエビデンスには繋がらないと指摘し、包括料金の導入に反対する姿勢を改めて示した。

療養費の支給対象は、医師が治療遂行上の必要を認め同意した部位を施術した場合と健康保険法で規定されている。幸野理事は、今回の提案によって同意部位以外に施術が行われると、医師の同意の位置づけや療養費の支給基準があいまいとなり、保険者は適切な療養費の支給決定ができなくなると指摘。仮に施術者が同意部位以外の施術が必要となった場合は、施術報告書等により医師にその必要性を説明し、再同意を得ることで解決できるとの考えを示した。

そのうえで、包括料金の導入は保険者の財政に影響を与える問題であるため、訪問施術の導入や同日、同一建物への往療料のあり方などとあわせて議論するよう要望した。

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