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健保ニュース 2022年4月上旬号

看護職員の処遇改善を議論
中医協 分科会で調査・分析を検討
評価方法や事後検証など課題に

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は3月23日の総会で、10月以降、診療報酬で対応する「看護職員の処遇改善」について議論し、所掌事務を変更した「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で必要な調査・分析などの検討を進めていくことを決めた。

「看護職員の処遇改善」については、政府が昨年11月19日に閣議決定した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」にもとづき、令和3年度補正予算で一定の役割を担う医療機関の看護職員の収入を1%程度引き上げる措置が4年2月から9月の間、看護職員等処遇改善事業補助金により講じられている。

また、昨年12月22日の4年度政府予算編成の重要事項にかかる財務・厚労大臣折衝では、4年度診療報酬本体改定率0.43%のうち、看護職員の処遇改善のための特例的な対応に0.2%を充当。

救急医療管理加算を算定する救急搬送件数が年200台以上および3次救急を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、4年10月以降、収入を3%程度(月額平均1万2000円相当)引き上げる仕組みの創設について合意した。

合わせて、看護補助者、理学療法士等のコメディカルの処遇改善に収入を充てることができる柔軟な運用も認め、介護・障害福祉の処遇改善加算の仕組みを参考に、予算が確実に賃金へ反映されるよう、適切な担保措置を講じることとされた。

「看護職員の処遇改善」については、2月9日の答申でなく、4月以降に別途、諮問・答申を行うこととされ、厚生労働省は看護職員等処遇改善事業補助金の交付状況も踏まえつつ、10月施行に間に合うような改定論議を進めていく意向を示していた。

この日の会合では、厚労省が「看護職員の処遇改善」の現状と課題を踏まえた論点として、「診療報酬で対応するに当たり、技術的検討を進めていく必要があることから、入院・外来医療等の調査・評価分科会で必要な調査・分析を行い、検討を進める」こととする対応を提案した。

診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、論点に異論はないと述べたうえで、診療報酬で看護師の処遇改善に対応していく場合、「基本診療料で評価するのか、加算で評価するのか、評価項目を新設するのか、という評価方法の課題がある」と問題提起。

そうした課題は総会で議論すべきとの認識を示し、「分科会では、複数の論点に関わる様々な技術的な課題について、解決案を検討する前に関係者の意見も踏まえながら論点整理の作業を行い、その作業を総会に報告いただきたい」と要望した。

江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、診療報酬の配分や算定要件、賃金の支払方法など様々な課題を解決する必要があると言及。公費負担や保険料負担、患者負担をはじめ国民の理解も不可欠と強調したうえで、先行して実施している「介護職員の処遇改善」で生じた課題も踏まえた丁寧な対応を求めた。

健保連の松本真人理事は、看護職員の処遇改善にかかる各医療機関への配分について、診療報酬で対応する場合、看護職員数だけでなく患者数も影響するため、補助金と比較し過不足となることへの留意が必要と主張。さらに、診療報酬が確実に処遇改善に結びついていることを確認できる事後検証の仕組みが必要と訴えた。

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