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健保ニュース 2022年3月下旬号

電設工業健康保険組合インタビュー
ニーズにもとづく保健事業を展開

地域や職場における保健・栄養の改善及びスポーツ・レクリエーションの普及運動(体力づくり運動)を推進し、顕著な成果を上げている組織を顕彰する「体力つくり優秀組織表彰」(主催:体力つくり国民会議)。令和3年度は、最上位賞である文部科学大臣賞の職域部門で電設工業健康保険組合(北爪敬治理事長・東京都)が表彰された(本誌3月上旬号№2291既報)。平成27年度の体力つくり国民会議議長賞受賞後、6年を経てのステップアップ受賞となる。体力づくりをはじめとする保健事業の取り組みについて、同健保組合の南彰専務理事と笹川武男常務理事に話を聞いた。


─文部科学大臣賞受賞の感想について。

南彰専務理事 このたびの受賞は、体力づくり事業に参加、協力いただいた被保険者や家族の方々をはじめ、組合の役職員の努力が結実したものといえる。3年度は、スポーツ基本法の制定から10年目であり、節目の年に体力づくり事業の功績が評価され、とても名誉なことと受け止めている。


─どのような点が評価されたと思うか。

笹川武男常務理事 当組合は設立当初から、事業所対抗の野球大会、テニス大会等のスポーツ大会を通じ、被保険者の体力向上とストレス解消、職場のコミュニケーション向上に寄与してきた。3年度は、事業所からの要望を踏まえ、新規事業としてフットサル大会を開始した。

また、スポーツが苦手な方や家族が気軽に参加できる事業として、ウオーキングやハイキングにも力を入れており、参加率は年々増加している。体力つくり国民会議議長賞受賞時は、年間5回の開催、参加者2400名規模であったウオーキング大会は、開催場所等、参加者のニーズを取り入れながら拡大し、現在は年間11回の開催、5200名規模となっている。年間を通した豊富な事業展開と組織全体での取り組みが評価されたのではないか。


─保健事業の運営体制は。

南専務理事 保健事業に関わる部署として、保健施設課、健康管理課、健康推進課、健診課の4課を設置している。

今回の受賞の評価対象となった体力づくりについては、保健施設課が中心となり、事業所対抗等のスポーツ大会、ウオーキングやハイキングの各事業を実施している。

その他、総務課が広報誌や健康カレンダーの作成業務、管理課がスポーツ施設運営の委託業者の管理業務を行うなど、多くの部署の連携により事業を推進する体制を構築している。

さらに、管理栄養士2名による健康教育や健康相談の実施に加え、全事業所で健康管理推進委員を委嘱し、健康に関する情報等を被保険者に周知するとともに、健康管理推進委員会(昨年はコロナ禍で開催を見送り、アンケートを実施)を通じ、被保険者等からの意見要望の収集に努めている。

ハード面においては、疾病予防事業と健康づくり事業の拠点として、平成5年に総合健康管理センター「へるすぴあ」を設置し、総合的に保健事業を推進している。


─注力している保健事業について。

専務理事 体力づくり事業としては、体力づくりの動機付けのほか、継続して運動する習慣や環境づくりのため、野球、テニスなど各種のスポーツ大会等を積極的に実施している。また、体を動かすことが心のストレスを発散し活力を生み出すことや、心の健康づくりにもつながると考えられることから、被保険者のニーズを踏まえた事業の実施に努めている。

笹川常務理事 健康づくり事業全般としては、直営の総合健康管理センター「へるすぴあ」を健康づくりの拠点とし、プール・フィットネス・温浴施設の整備、各種健康づくり教室の実施や、定期健診・各種健診・特定健診・保健指導を実施している。

また、健康経営を通じた疾病予防・健康づくりを積極的に支援する体制を確立し、事業主とのコラボヘルスの推進などに注力している。総合健保のため、コラボヘルスの取り組み具合は事業所に差があるが、協力的な事業所からアプローチを始め、徐々に裾野を広げている。


─加入者のニーズを踏まえた事業展開について。新規事業開始までのプロセスは。

笹川常務理事 担当課では、事業の企画立案から実施までを委託によらず全て職員で行う。また、加入者の要望を極力取り入れる風土が根付いており、要望があった事業は翌年度に実現することも多い。

加入者からみかん狩り以外のイベントの要望を受けた際は、他組合の実施状況を参考に芋堀ウオーキング大会を企画。開催場所、開催時期の検討から始め、他の事業と予算の調整をし、翌年度からの実施を実現した。大会の参加率も上々で、その後、アンケート結果を踏まえ、受付場所や道順などの改善を図った。加入者からのアンケート結果が、事業のPDCAサイクルを回すうえで非常に役立っている。


─業種特有の健康課題とそれに対する取り組みについて。

南専務理事 当組合は建設業を業態とし、電気設備工事、電気機械器具の製造・販売を主とする事業所が加入している。被保険者の8割が男性で、平均年齢も44歳とやや高いことも影響してか、「健康スコアリングレポート」における生活習慣の項目のうち、喫煙、運動、飲酒がやや不良である。

また、現場作業者も多いことから、特定保健指導対象者の協力を得るのが難しく、実施率の向上に苦慮している。コロナ禍において実施率が低下したものの、ウェブによる指導を開始したところ、徐々にではあるが実施率の改善が見られる。

さらに、「へるすぴあ」での健診時をはじめ、一部の契約健診機関においては、健診当日の保健指導に注力しており、成果に着目している。


─今後の展望は。

南専務理事 今回の受賞は、体力・健康づくり面での取り組みが評価されたところである。今後は、保健事業のもう1つの柱である健康診査や保健指導などの事業にも力を入れ、PDCAサイクルに沿った事業運営を通じて実績向上を図りたい。

笹川常務理事 3年度から事業所単位で作成される「健康スコアリングレポート」を活用し、事業所ごとに生活習慣の改善を中心にアプローチしていきたい。また、職場でのコミュニケーションの活性化が被保険者のメンタルヘルスの向上に効果があると言われていることから、イベント参加率別に事業所の疾病傾向を分析し、その結果を今後の事業実施に生かしたい。

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