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健保ニュース 2022年3月下旬号

元年度あはき療養費の支給状況
あん摩マッサージ2.4%増の750億円
はり・きゅうが6.2%増の437億円

厚生労働省は、あん摩マッサージ指圧と、はり・きゅうの施術における療養費の支給状況をまとめ、2月22日に開催された社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会に提出した。それによると直近のあはき療養費は、令和元年度のあん摩マッサージ指圧が750億円、はり・きゅうが437億円。ここ数年は伸びが鈍化傾向にあったが、対前年度伸び率は、はり・きゅうが+6.2%、あん摩マッサージ指圧が+2.4%と、拡大傾向に転じていることが判明した。

あはき療養費は、希望する施術者と保険者裁量により受領委任に参加する保険者が受領委任の契約の締結を行なった場合、平成31年1月1日から受領委任払いの取り扱いが認められている。令和4年2月時点で制度に参加する保険者は、協会けんぽ47支部、船員保険、市町村国保1696市町村、国保組合113国保組合、後期高齢者医療広域連合47広域連合、健保組合278健保組合。健保連は受領委任制度導入時において、厚生労働省へ導入後の請求件数、支給額等の推移の検証・分析を行うことを要望している。

この日の専門委員会では、協会けんぽ、国民健康保険、後期高齢者医療の2年10月分におけるあはき療養費支給申請書をもとに分析した調査結果を報告。そのなかで2年のあん摩マッサージ指圧療養費を3年前の平成29年と比較した結果、同療養費全体に占める「往療料」の割合は、61.9%から50.5%に低下したが、マッサージ(32.7%)、変形徒手矯正術(15.9%)、温罨法(0.9%)といった「施術料」を合計した割合(49.5%)よりも多い状況となった。

さらに同療養費の件数(患者数)に占める往療料の割合は、84.3%となり、施術を受けた患者10人に8人の割合で請求されている。「往療料」はこれまで平成30年度の料金改定において、施術料よりも往療料が多くなっているという現状を見直すため、距離加算を引き下げ、施術料や往療料に振り替えて包括化する等の改定が進められてきたが、適正化に向けたさらなる対策が、急務となっている現状を裏付ける結果となった。

一方で、今回まとめられたはり・きゅう療養費全体に占める往療料の割合は、28.9%(29年)から27.1%(2年)と大きく変化はしておらず、2年は施術料(71.3%)が往療料(27.1%)よりも多かった。同療養費の件数に占める往療料の割合は24.1%。保険者別にみると、協会けんぽ・本人1.5%、同・家族5.6%と低いが、国民健康保険14.2%、後期高齢者医療43.8%と高い。

受療者の年齢別では、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費とも70歳以上の患者で全体の5割以上を占め、特に80歳~89歳が最も多く、次いで70~79歳が多い。

傷病名別では、あん摩マッサージ指圧療養費では、脳血管疾患が24.9%と最も多く、次いでパーキンソン病、膝痛・腰痛と続く。はり・きゅう療養費では、神経痛が33.6%と全体の約3割を占め、続いて腰痛症、頚腕症候群が多かった。

このほか、1か月当たりの施術回数を見ると、あん摩マッサージ指圧療養費では、5~8回(29.9%)が最も多く、9回以上は41.8%で、このうち16回以上は5.1%となった。はり・きゅう療養費は5~8回(28.3%)が最も多く、9回以上は62.0%で、このうち16回以上は5.8%となった。

こうしたデータを踏まえ、専門委員会では往療料の見直しなど療養費の適正化を検討していく予定。

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