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健保ニュース 2022年1月下旬号

4年度健保組合予算編成方針
診療報酬改定や制度改正に対応

厚生労働省は令和3年12月24日、来年度に向けた健保組合予算編成方針「健康保険組合の令和4年度予算の編成について」を保険局保険課長から健保組合理事長に通知した。

4年度予算編成については、▽保険料率▽保険料額の負担割合▽法定準備金▽一部負担還元金・付加給付▽保健事業▽保険給付の適正化▽事務処理体制▽共同事業の推進▽個人情報の流出防止─の9項目を重点事項としたうえで、事務費や保険給付費、高齢者医療拠出金などの計上にかかる具体的な考え方を示している。

このうち、保険料率の設定に必要な医療費の推計については、4年10月から施行の短時間労働者の適用拡大(100人超の事業所)や4年度の診療報酬改定▲0.94%(診療報酬本体+0.43%、薬価等▲1.37%)の影響を踏まえる必要性を指摘した。

標準報酬や標準賞与の推計は、同様に適用拡大の影響を踏まえるとともに、4年1月施行の任意継続被保険者の保険料算定基礎の見直しに伴い、任継被保険者の標準報酬月額について規約を改訂する場合は適正に推計することを追加した。

また、3年度予算編成方針に引き続き、中長期的にも安定的な財政運営を行うことを重視し、医療費や積立金、事業内容などを検証し、「加入者の年齢構成等を踏まえた将来的な医療費の動向を踏まえた保険料率や、積み立て状況を考慮すること」とした。

保健事業では第2期データヘルス計画について、「中間評価・見直し」(2年12月14日付事務連絡)を受けての見直し後の計画にもとづき、事業の目標設定と評価指標の見える化や健康経営を通じた企業の予防・健康づくりを積極的に支援する体制整備等を含め、事業を本格稼働できるよう必要な予算を計上する。

保険給付の適正化に関する医療費通知では、医療費の実情の理解と健康への認識を深めるなどの意義に触れたうえで、3年11月からマイナポータルにおける医療費通知情報の閲覧が開始されたことを踏まえ、加入者に対しマイナポータルの医療費通知情報の活用を促すなど積極的な取り組みを求めた。

レセプト点検業務は、引き続き不適正な医療費を排除する観点から一層の強化に取り組む必要性を指摘。そのうえで、「なお、保険者が行う再審査申出(紙媒体で請求されたレセプトに係る再審査申出を除く)については、令和4年度中にオンラインによるものとし、そのための体制を整備すること」の文言を新たに追加した。

事務処理体制のうち、3年度予算編成方針から新設された健保組合における「事業継続体制」では、新型コロナを契機とする「健保組合における事業継続について」(2年4月6日付事務連絡)や、「健保組合におけるテレワークについて」(3年4月26日付事務連絡)を踏まえ、テレワーク環境、電子決裁システムや電子文書保存にかかる整備、テレビ会議システム、web会議システムの導入などの体制整備に取り組むこととした。

予算の計上に関して、事務費の国庫負担収入は、3年度と同様、一般分の被保険者1人当たり月額を単一組合10円・総合組合15円、介護分の2号被保険者1人当たり月額を単一2円・総合3円とする。

保険給付費については、組合の過去の実績値、診療報酬改定、4年1月施行の傷病手当金の支給期間(1年6か月)の通算化、適用拡大に伴う加入者増を踏まえ、組合の実情に応じて適正に計上する。

前期高齢者納付金・交付金、後期高齢者支援金、退職者給付拠出金などの見込額は、「健康保険組合の令和4年度予算編成における納付金等の見込額の算出方法について」(3年12月24日付事務連絡)を参考に計上する。

このなかで、納付金等の見込額は、2年度の実績を用いて算定されることから、今後、各保険者が社会保険診療報酬支払基金に報告する4年度の標準報酬総額の見込額を除き、10月施行の「短時間労働者の適用拡大の影響は反映されない」として、留意を求めた。適用拡大の影響が著しい場合は、支払基金が示す過大・過少の補正申請要件の対象とする予定。また、納付金等の確定時(翌々年度)には、適用拡大の影響が反映された実績を用いて算定するとした。

介護納付金の見込額は、1月中に厚労省老健局介護保険計画課長が通知する事務連絡「令和4年度介護給付費・地域支援事業支援納付金について」を参考に計上する。

社会保障・税番号制度関連施策への対応は、①住基ネット利用にかかる手数料②医療保険者等中間サーバーを通じた情報連携業務にかかる運用・保守経費─に分け、②4年度の運用・保守経費は、加入者1人当たり月額1.95円を計上する。

これについては、厚労省が進めているデータヘルス改革のアクションワンにもとづき、薬剤情報に加えて手術や透析などの医療情報を確認できる仕組みの拡大を織り込んだものだが、「医療情報の追加分(約0.05円)の取り扱いを含めて調整中のため、実際の単価とは異なる可能性があることに留意すること」としている。

①の住基ネットを活用して、加入者の個人番号や基本4情報(氏名・生年月日・性別・住所)を確認した場合の手数料は引き続き、原則1件の照会につき10円、医療保険者等向け中間サーバーを通じた機関別符号の取得も引き続き1件10円の手数料が発生する。

「新型コロナワクチン職域追加接種への対応」を新設し、追加接種を実施する場合は、接種費用にかかる収入(1回の接種当たり税込2277円)を、(款)雑収入(項)雑入(目)雑入に計上する。

医療従事者等の人件費、会場借上代、接種に付随する消耗品・物品等の支出は、(款)保健事業費(項)保健事業費(目)疾病予防費に計上する。

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