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健保ニュース 2022年新年号

後期高齢者医療
2割負担導入 4年10月1日から施行

財務、厚労両大臣の閣僚折衝では、一定所得以上の後期高齢者の医療費にかかる窓口2割負担の導入時期について、4年10月1日から施行することで合意した。

2割負担導入の時期は、4年度後半の10月1日~5年3月1日のうち政令で施行日を定めることとなっている。施行日が後ろにずれるほど、現役世代が負担する後期高齢者支援金の軽減効果が薄まるが、全世代型社会保障の実現に向けて「現役世代の保険料負担の上昇を抑制する」という導入の趣旨に鑑み、最も早い10月1日とした。

2割負担を柱とする医療保険制度改革関連法は先の通常国会で成立。現行の後期高齢者の窓口負担については、3割負担が適用される現役並み所得者を除いて、1割負担となっている。4年10月からは、所得上位30%(現役並みを除き23%)までをカバーすると見込まれる課税所得28万円以上かつ年収200万円以上(複数世帯は後期高齢者の年収合計320万円以上)の後期高齢者の窓口負担を2割とする。所得基準も今後政令で定める。

2割負担導入による4年度(10月~2月の5か月分)の財政効果額は、給付費が▲780億円、後期支援金が▲300億円、国費が▲290億円(国保後期支援金の国庫負担分含む)と試算されている。

また、2割負担の導入に伴い、負担増の激変を緩和する観点から、施行後3年間は外来受診時の窓口負担増を最大月3000円に抑える配慮措置を講じることとなっている。

全世代型が改革の基本

なお、閣僚折衝では、2割負担導入の施行日の決着と合わせて、今後の改革の基本的方向も合意した。

改革の方向性について、これまでの現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代という社会保障の構造を見直し、全世代が公平に支え合う「全世代型社会保障の考え方は、今後とも社会保障改革の基本である」と指摘。

今後、政府の全世代型社会保障構築会議などで、これまでの改革をフォローアップするとともに、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築する観点から、給付と負担のバランス、現役世代の負担上昇の抑制、保険料賦課限度額の引き上げなど能力に応じた負担のあり方など、社会保障全般の総合的な検討を進め、さらなる改革を推進するとした。

看護、介護など処遇改善

閣僚折衝では、政権の看板政策である看護・介護職員などの処遇改善の進め方も合意した。

看護職員の収入は、4年9月まで1%(月平均4000円)分の引き上げを3年度補正予算から全額国費で手当てしたうえで、10月以降は3%、月平均1万2000円相当の引き上げを診療報酬で措置する。

5年度の対応は、収入増の満年度化に伴う追加の所要額(国費140億円程度)について、社会保障の充実に充てる歳出を見直すことで安定財源を確保する。

介護・障害福祉職員は、10月以降も引き続き収入を3%、月平均9000円相当の引き上げを実施するため、臨時の報酬改定を行う。必要な国費は介護150億円程度、障害福祉130億円程度。

5年度の対応は、満年度化に伴う追加所要額を介護が国費210億円程度、障害福祉180億円程度と見込み、介護については、看護と同様に社会保障の充実に充てる歳出の見直しにより、障害福祉は4年10月実施の被用者保険適用拡大の満年度に伴う歳出削減などにより、それぞれ安定財源を確保する。

社会保障の充実等

社会保障・税一体改革の一環として実施する社会保障の充実には、公費2兆8000億円程度(消費税増収分のうち消費税率1%分の税収相当)を措置する。

このなかで、令和元年10月の消費税率10%への引き上げに伴う増収分を活用して、4年度予算で看護・介護職員の処遇改善、不妊治療の保険適用、子どもにかかる国保保険料の均等割額の軽減、医療情報化支援などを実施する。

医療情報化支援については、医療機関へのオンライン資格確認の導入、さらに5年1月からの電子処方箋の運用開始に向けて、医療機関・薬局のシステム整備を支援するため、医療情報化支援基金に公費735億円程度を投入する。

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