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健保ニュース 2022年新年号

4年度予算財務・厚労大臣合意
診療報酬本体 改定率は実質0.23%
リフィル処方箋導入で効率化も

鈴木俊一財務相と後藤茂之厚生労働相は12月22日、令和4年度政府予算編成の重要事項について折衝し、今夏の概算要求時点で6600億円と見込んだ社会保障関係費の実質的な伸びについて、高齢化に伴う自然増を4400億円程度におさめることを合意した。

主に、▽薬価のマイナス改定(国費▲1600億円程度)▽10月1日から施行する一定の所得がある後期高齢者の2割負担導入(同▲290億円)▽短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大(同▲280億円)─などの改革努力により、2200億円程度を抑制した。

4年度の診療報酬は医療機関や薬局の経営原資となる「本体」が0.43%(同300億円程度)、「薬価」が▲1.35%(同▲1600億円程度)、「材料価格」が▲0.02%(同▲20億円程度)の改定率に決まった。

全体で差し引き▲0.94%程度のマイナス改定(同▲1320億円程度)となり、2年に1度の診療報酬改定では、平成28年度以降、4回連続の引き下げとなる。

診療報酬の「本体」は、2年度改定の「0.55%」の改定率に比べ、増加幅が0.12ポイント縮小する。

反復利用できる「リフィル処方箋」の導入・活用促進による効率化で▲0.1%(同▲110億円程度)、小児の感染防止対策にかかる加算措置(医科分)の期限到来で▲0.1%(国費▲50億円程度)の財源を捻出する一方、看護の処遇改善のための特例的な対応で0.2%(同100億円程度)、不妊治療の保険適用のための特例的な対応で0.2%(同100億円程度)をそれぞれ充当。

これを除いた部分の実質的な「本体」の改定率は「0.23%(同250億円程度)」で、前回改定の水準を大きく下回る。

各科改定率は技術料の割合に応じた配分(医科1.0、歯科1.1、調剤0.3)を踏まえ、医科0.26%(国費220億円程度)、歯科0.29%(同20億円程度)、調剤0.08%(同20億円程度)とした。

「リフィル処方箋」は、症状が安定している患者について、医師と薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる、現行の分割調剤とは異なる実効的な方策を導入することにより、再診の効率化につなげ、その効果の検証を行うと明記。

「症状が安定している患者」や「一定期間内」の具体的な要件等について厚労省は、中央社会保険医療協議会で議論するとの意向を示したが、健保連が元年8月23日に公表した「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究Ⅳ」の「繰り返し利用可能な処方箋(リフィル処方)の導入に向けた検討」も参考に、「国費▲110億円程度」を算出したと説明した。

看護の処遇改善は、救急医療管理加算を算定する救急搬送件数が年200台以上および3次救急を担う医療機関に勤務する職員を対象に、10月以降、収入を3%程度(月額平均1万2000円相当)引き上げるための仕組みを創設する。

薬価の改定率は、3年9月の市場実勢価格調査にもとづく対応分▲1.44%(国費▲1600億円程度)、不妊治療の保険適用のための特例的な対応分0.09%(同50億円程度)から成り、不妊治療の保険適用に診療報酬と薬価で合計0.29%分を充当した。

材料価格の改定率は、3年5~9月取引分を集計した材料価格調査で一定幅(4%)を下回る平均乖離率(約3.8%)となっていたため、医科の材料価格の平均乖離率のみで計算した。

このほか、診療報酬等に関し、▽看護配置7対1の入院基本料を含む入院医療の評価の適正化▽かかりつけ医機能にかかる診療報酬の実態に即した適切な見直し▽OTC類似薬の保険給付範囲見直しなど薬剤給付適正化の観点からの湿布薬の処方適正化─などの事項について、中医協の議論も踏まえ確実に改革を進める方針も盛り込んだ。

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