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健保ニュース 2021年11月下旬号

吉田事務次官が就任会見
全世代型社会保障を推進

厚生労働省の吉田学事務次官は10日に就任会見を行い、社会保障改革のあり方など厚労行政の課題について語った。

給付と負担のあり方を含めた社会保障改革の進め方については、2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴い、2025年を念頭に進めてきた社会保障・税一体が一区切りを迎えたと位置づけたうえで、「少子高齢化の状況は依然として続き、当初目標にしていた2025年まで間もなく、逆にいうと2025年の先を見据えた対応が必要となっている」との認識を示した。

社会保障については、国民の生命、生活を守る基盤として不断の見直しが求められているとし、こうしたなかで、岸田政権の下で全世代型社会保障構築会議が発足したことに言及。子どもから高齢者まですべての人が安心できる全世代型社会保障の構築を進めることを議論する同会議については、「厚労省だけでなく国全体の大きな課題、アジェンダのひとつとして位置づけられており、政府をあげて取り組むこととなっている」と述べ、制度を所管する中心の厚労省として同会議での議論を受け止めて具体化していく意向を示した。

政権が重視する「勤労者皆保険」については、「働き方が多様化しているなかで、社会保険というわが国の社会保障の大きな柱について、カバレッジを適切な範囲に広げて、その保障から漏れることのないよう、必要な保障がきちんと受けられるようにするという意味で、岸田内閣が掲げている勤労者皆保険は、われわれがこれまで皆保険制度と言ってきたものに、さらに一歩進める、実を高めるための取り組みであると受け止めている」と認識し、まずは現段階で予定されている被用者保険の適用拡大を着実に進めていく方針を示した。

また、医療や福祉職に従事する者の処遇改善を図るための公的価格の見直し論議が政府内でスタートしたが、各職種の着眼点として、▽全産業平均の賃金を下回る介護職、保育士などの賃金をいかに引き上げていくか▽看護師は全産業平均を上回るが、技能や夜勤など変則的な勤務状態に着目すると、給与を引き上げる必要がある─などと指摘した。

そのうえで、「看護、介護をはじめとする現場で働く方々の賃金を上げていくことで、ひいてはそれが、わが国社会全体の賃金水準を上げていくことの先導役として位置づけられていると受け止めている」との見解を示した。

吉田事務次官は、就任に当たっての感想・抱負で厚労行政が抱える課題を大きく3点あげた。

ひとつは、新型コロナウイルス感染症禍において、国民の生命、健康、生活、暮らしを守り支えていくことが重要な使命と強調した。

2つ目は、中期的な課題は引き続き抱えていると指摘し、具体的に少子高齢化や経済社会の変化のなかで、全世代型社会保障を構築することをはじめ、国民が満足できる形の働き方改革などの取り組みをしっかりと進めていかなければならないと述べた。

3つ目は、厚労省の若手職員を中心に過酷な勤務環境となっている状況を改善するなど、「厚労省改革の道をつけて、われわれが期待されている任務をしっかりと遂行できる組織とすることも大事だと思っている」と述べた。

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